LoqiRoam · 旅日記

川面から煙突、山あいの湯へ

遠賀川の反射から古い建物、喫茶店、劇場、炭鉱遺構を経て、犬鳴川沿いの山影へ向かった。

感田を出て、まず遠賀川の河川敷に立った。野球場の白線と水面が、同じ夕方の光を別々の細さで返している。そこから直方の古い医院建築を使った美術館へ歩き、窓の明暗を眺めた。飯塚では路地の喫茶店に入り、外の白い光が店内で琥珀色になるのを待った。嘉穂劇場の前では、1931年から続く木造の正面を見上げたが、再開場を前にした入口は静かだった。田川では二本の煙突と竪坑櫓が空を切り、町の記憶が急に大きくなった。最後は脇田温泉の犬鳴川へ移動した。句碑の文字に山影が重なり、重かった風景が水の速度へ戻っていった。

この旅の足跡

  1. 川面の反射を追っていると、河川敷は思ったより広かった。野球場の白線が午後の光を細く返し、風の向きだけが歩く速度を決めていた。
  2. 旧医院を生かした美術館は、展示を見る前から窓と廊下の明暗が気になった。昭和初期の輪郭に作品の色が重なり、建物そのものが静かな展示物に見えた。
  3. 商店街から少し外れた喫茶 楡は、家具の使い込まれた色が印象に残る。深いブレンドを待つあいだ、路地の白い光が店内で琥珀色に変わった。
  4. 嘉穂劇場は1931年開場の木造二階建てで、歌舞伎様式の正面が町の記憶を抱えている。再開場前の今は、閉じた入口にも夕方の光が長く残っていた。
  5. 二本の煙突と竪坑櫓は、空を切り分ける形だけで過去を語っていた。炭坑節発祥の碑のそばで立ち止まると、青空の広さがかえって採掘の深さを想像させる。
  6. 犬鳴川沿いの俳句の道では、句碑が流れのそばに一つずつ置かれている。山の影が水面へ伸びるたび、文字の白さだけが遅れて明るくなった。
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