LoqiRoam · 旅日記
曲がり角の先に、谷の時間
中三依温泉から食堂、男鹿川と温泉、植物園、湯西川の歴史へ、曲がり角に任せて旅の速度と視点を変えた。
中三依温泉を出たときは、駅のまわりを小さく歩くつもりだった。けれど、線路沿いの道は思ったより谷の奥へ気持ちを連れていく。最初の角で食堂を見つけ、そばと鮎の気配に足を止めた。そこから男鹿川の水音へ向かい、男鹿の湯でいったん旅の速度を落とす。温まったあとに訪れた上三依水生植物園では、山の植物が池や庭、日本庭園という異なる表情に分けられていて、自然を見る目まで少し変わった。最後は湯西川温泉へ。平家の里の茅葺き屋根と古い伝承に触れると、さっきまでの水と花の風景が、長い時間の途中に見えてくる。名所を順番に消化したというより、曲がるたびに食、湯、植物、歴史へ旅が姿を変えていった一日だった。
この旅の足跡
- 中三依温泉駅を出ると、線路と谷の道が同じ方向へ伸びていた。静かなのに、最初の角で少し迷う。その迷いが、この旅の速度を決めた気がする。
- つちや食堂は駅から歩ける距離にあり、そばや鮎の塩焼きが土地の食卓らしく見える。観光の一皿というより、谷の道に突然現れる昼ごはんだった。
- 男鹿の湯の近くでは、関東の山中とは思えないほど男鹿川の水の気配が濃い。湯に入る前から、今日はここで一度立ち止まる日だと決まった。
- 上三依水生植物園は、水生植物池からロックガーデン、日本庭園まで八つの見方に分かれている。山を歩いているのに、景色へ名前を付けたくなるのが少し可笑しい。
- 湯西川温泉へ向かうと、谷の静けさが伝承の気配に変わっていく。観光地へ来たはずなのに、曲がった道の先では昔話の続きを待つような気分になった。
- 平家の里では、茅葺きの建物が伝説を展示物にせず、集落の風景として見せていた。閉館時間を気にしながら歩くと、夕方の谷が急に近くなる。