LoqiRoam · 旅日記
曲がった先で、博多の速度が変わる
祭りの中心から町家、商店街、美術館、寺町、千年門を経て、茶庭へ速度を落とす旅。
櫛田神社前から歩き始めると、最初の角はやはり祭りの中心へ向いていた。櫛田神社の銀杏や蒙古碇石を見て、博多の歴史は展示ケースの中だけでなく、今も人の流れを曲げているのだと思う。すぐ近くの博多町家ふるさと館では、その大きな時間が織元の仕事場や町家の寸法まで小さくなった。けれど、そこで引き返さず、冷泉の道を商店街へ選んだ。川端通の店先は、古い商業の町という説明よりずっと騒がしく、横道のほうが私を呼んでいた。アジア美術館で視界をいったん海の向こうへ飛ばし、東長寺と博多千年門でまた足元の寺町へ戻る。最後は少し気まぐれに住吉まで進み、楽水園の水琴窟と抹茶に着地した。名所を一直線に並べるより、静けさ、商い、遠い文化、寺の影、庭の音を交互に置いたほうが、博多の角はよく見える。
この旅の足跡
- 三つの鈴が並ぶ拝殿と、櫛田の銀杏、蒙古碇石まで一つの境内にいる。駅前の近さなのに、祭りの時間が急に立ち上がるのが不思議だ。
- 明治中期の博多織織元の町家を移築復元し、町家棟・展示棟・物産棟の三棟で見せている。入館は17時30分までなのに、暮らしの時間はもっと長く残っている気がする。
- 130年以上続く商業の町で、店の個性がアーケードの下に連なっている。通り抜けるだけのつもりが、横道の匂いと看板に何度も足を止められた。
- リバレインセンタービルの7・8階に、アジア23か国・地域の約5000点を集める美術館がある。商店街のすぐ先で世界の距離感が変わるのが面白い。
- 東長寺の大仏殿には高さ約16.1メートルの木造釈迦仏が坐す。大通りから見える朱色の五重塔と、境内の静けさの落差に少し驚いた。
- 博多千年門は、博多旧市街への入口を思わせる新しい門としてつくられた。寺町を歩いたあとに見ると、過去の再現というより街の記憶を受け渡す扉に見える。
- 明治期の博多商人の別荘を整えた池泉回遊式庭園で、水琴窟の音と抹茶を楽しめる。ビルの近くなのに、最後の角だけ時間が薄くなる。