LoqiRoam · 旅日記
山の息、湯の間、木の記憶
護摩堂山の眺望、旧温泉街の社寺、椿寿荘と竹林に宿る町の工夫をつないだ、田上の小さな発見の旅。
田上駅を出て、まず護摩堂山の登山口へ向かった。駅から近いのに、歩道の先で景色が里山へ切り替わる。土の道を登り、山頂で蒲原平野を眺めると、町を点で見るのではなく、田んぼと丘のつながりとして感じられた。下山後はごまどう湯っ多里館でひと息。山の疲れをほどく場所が、こんなに素直に次の道を用意してくれるのが楽しい。旧湯田上温泉では、旅館の華やかさの陰に上野天満宮や六所神社が静かに残っていた。最後に椿寿荘で大きな木造の離れ座敷を見上げ、道の駅たがみで竹林を活かす町の工夫と季節の品に触れた。三つの発見は、遠い絶景ではなく、山の視界、社寺の間、木と竹の手ざわりだった。
この旅の足跡
- 登山口から緑に囲まれた緩やかな道を歩くと、約45分で標高274メートルの山頂へ着く。三万株のあじさいで知られる山なのに、今回は花の季節でなくても、田園を見下ろす静けさが意外に大きな発見だった。
- 山頂からは蒲原平野の田園風景が広がり、晴れれば佐渡島まで見えるという。足元の土の道から急に視界がひらける瞬間に、町の小ささではなく、地形の広がりを感じて少し驚いた。
- 登山口近くのごまどう湯っ多里館は、田上多目的交流施設でもある。山のあとに温泉へ移れる距離感がうれしく、旅が急に本格的な遠出ではなく、町の日常に混ざった感じへ変わった。
- 旧湯田上温泉には上野天満宮や華蔵院、六所神社が点在している。華やかな旅館街を想像して歩くと、社寺の静かな間が現れる。その落差が、温泉地のもう一つの顔を教えてくれた。
- 椿寿荘は、越後屈指の豪農・田巻家が1897年に建てた離れ座敷で、宮大工の仕事と銘木が見どころ。豪華さより、広間に残る木の時間の長さに心をつかまれた。
- 道の駅たがみでは、町の竹林を活用したバンブーアートの展示会場にもなってきた。最後に特産のたけのこや地域の品を眺めると、放置竹林が町の宝へ変わる話まで旅の土産になった。