LoqiRoam · 旅日記
釜谷富士を背に、函館の坂へ
釜谷富士を起点に、朝市、港の倉庫、路面電車、教会、坂、公園をつなぎ、海辺の暮らしと函館の歴史を歩いて確かめた。
釜谷では、まず海辺の展望施設から釜谷富士を眺めた。地図に大きく名が出ないこともある山が、昔から航海や漁の目印だったという話に、出発点そのものが旅の手がかりへ変わった。そこから函館の中心へ移動し、朝市の魚介の看板を追う。釜谷の海と市場の商いが、距離を越えて一本につながった気がした。赤レンガ倉庫では、古い港の壁に新しい店の名前が重なり、保存と商売が同じ景色に収まっている。十字街で市電の行き先が分かれると、今度は坂道へ。教会の白壁、石畳の八幡坂、海へ落ちていく視界を順に歩き、最後は元町公園で立ち止まった。名所を集めたというより、山、魚、看板、線路、坂が互いに町の向きを教えてくれる散歩だった。
この旅の足跡
- 釜谷漁港の北にある展望施設から、地図に載らないこともある釜谷富士を眺めた。243メートルの山が航海の目印だったとは、海辺の景色が急に手紙のように読めてくる。
- 函館朝市は海産物の店と食堂が集まり、朝に入った魚が昼には品切れになることもあるという。看板の魚の名前を追うだけで、港の時間割を覗いている気分になった。
- 金森赤レンガ倉庫は港に面した七棟の倉庫群が商業施設として使われ、物販店は9時30分から19時まで。古い壁に新しい店名が重なる様子が、建物の再出発に見えた。
- 十字街は函館市電の分岐点で、谷地頭方面と函館どつく前方面が分かれる。電車の行き先表示を見ていると、一本の線路にも町の性格を分ける小さな判断があると気づいた。
- 函館ハリストス正教会は初代ロシア領事館付属聖堂を前身とする建物。坂道の景色に異なる祈りの場所が現れ、看板を読む散歩が建築の沈黙を読む時間へ変わった。
- 八幡坂は石畳の道が海へ向かって下り、港に係留された摩周丸を望める坂。定番の眺めなのに、傾斜そのものが視線を海へ押し出す仕掛けのようで驚いた。
- 元町公園は函館の行政の中心だった場所で、旧北海道庁函館支庁庁舎や旧函館区公会堂を望める。常時開園の公園で休むと、坂と港が町の骨格だと分かった。