LoqiRoam · 旅日記
水の町で、三つ拾う
古社の水、酒蔵の仕事、港町の風をつないだ伏見の小さな発見の旅。
JR藤森を出ると、まず藤森神社の境内で「不二の水」に出会った。勝運の社として知られる場所なのに、旅の始まりに残ったのは大げさな願いではなく、暑さの中で水が喉を通る小さな実感だった。そこから南へ進み、御香宮神社では、社名の由来になった御香水が今も汲めることに驚く。名水は石碑の中だけにあるのではなく、誰かの日常の容器へ流れていた。酒蔵では水が仕事へ変わる時間を想像し、大手筋のアーケードでは太陽光で動く町の仕掛けを見上げた。竜馬通りの石畳では、昔の志士の道に新しい飲みものの店が重なり、伏見の時間が一枚ではないと知る。最後は伏見港公園へ。船に乗れない日でも、水面と風が町を港へ戻してくれた。小さな発見は三つのつもりが、歩くたびに増えていた。
この旅の足跡
- 境内の「不二の水」は、二つとないおいしさを願う名前らしい。馬の神社で見つけたのは、勝運より先に、暑い朝にうれしい一口だった。
- 極彩色の社殿のそばで、御香水は今も7時から19時まで汲める。昔の「香る水」が、観光用の昔話だけで終わっていないのが意外だった。
- 酒蔵の町で、昔の酒造道具と仕込み水の話が同じ建物に並ぶ。試飲の華やかさより、木桶や道具が黙って働いていた時間に惹かれた。
- アーケードの上に太陽光発電、通りにはからくり時計。大手筋は古い城下町の道なのに、町の現在を動かす仕掛けがちゃんと見える。
- 石畳とガス灯風の街路灯が続く竜馬通り。幕末の名前を掲げながら、今はクラフトコーラやナッツの店もある。その混ざり方が面白い。
- 伏見港公園の外周を歩くと、ここがかつての港だったことが水面の広がりでわかる。船の予定が合わなくても、風だけで旅の終点になる。