LoqiRoam · 旅日記
水の町で、角をひとつ多く曲がる
夜明駅から豆田町の歴史、酒蔵、亀山公園、慈恩の滝、天ヶ瀬温泉へ。日田の水が景観、商い、音、湯へ変わる様子をたどった。
夜明駅では、駅名より先に川の近さと、駅舎脇の鐘が気になった。列車の起点に立ったはずなのに、旅はすぐに水辺の道へほどけていく。日田の市街へ移ると、豆田町の白壁や格子戸は保存された景色でありながら、醸造蔵や商家の気配をまだ抱えていた。資料館で暮らしの道具を覗き、薫長の古い酒蔵で水が酒になる時間を想像する。歩き疲れたところで亀山公園へ逃げると、三隈川の風が町歩きの熱をさらってくれた。そこから慈恩の滝へ向かい、静かな川面が轟音の二段瀑へ反転する。最後は天ヶ瀬の湯へ。冷たい飛沫、流れる川、湯気。最初の角を少し気まぐれに選んだだけなのに、水の姿を追う旅になっていた。
この旅の足跡
- 駅舎の隣に昔の始業チャイムだった「夜明の鐘」があり、すぐ横を三隈川と大肥川が流れている。静かなのに、分岐点らしい気配だけは濃い。
- 白壁の土蔵や江戸期から大正期の町家がまとまって残る豆田町。整った景観なのに、醸造蔵や商いが今も混ざっていて、古い町が眠っていない。
- 廣瀬資料館には、掛屋を営んだ廣瀬家の生活道具や書画、雛人形が残る。華やかな展示の裏に、帳場の忙しさまで想像してしまうのが面白い。
- 元禄15年築を含む酒蔵が残り、資料館とショップ、カフェまで同じ場所にある。古い蔵なのに営業の気配が新しく、見学のつもりが匂いに引かれそうだ。
- 亀山公園は三隈川沿いの日隈山を中心にした緑の公園で、周回路は約600メートル。観光の合間に川面の風へ逃げられるのが、少し贅沢だ。
- 慈恩の滝は上段と下段を合わせて約30メートル。裏側の遊歩道は通行情報に揺れがあるので無理はしないが、国道脇でこの水量に出会う意外さは残る。
- 天ヶ瀬温泉には玖珠川沿いの共同浴場があり、川と湯の距離が近い。滝の冷たい飛沫のあとに湯気へ向かうと、水の旅が急に体温を持ちはじめる。