LoqiRoam · 旅日記
水と影のあいだ
江津湖の湧水から水前寺の庭園、市電、美術館、健軍商店街まで、光の温度をたどった散歩。
三ツ石を出ると、道はまだ朝の色を決めていなかった。江津湖へ向かうと、湧水の水面を鳥の影が横切り、岸の草だけが先に明るくなっていた。そのまま動植物園の近くまで歩き、湖の青から葉の濃い緑へ視界を移した。市電に乗ると、電線と建物の影が窓の上で短く伸び縮みする。水前寺成趣園では、湧水の池と築山が歩くたびに違う明るさを返し、庭が静かに動いているようだった。中心部へ戻り、熊本市現代美術館の白い展示室に入ると、外の光は消えたのではなく、作品の色の中へ移った。最後は健軍商店街のアーケードへ下り、店先の声と食べものの気配に包まれた。遠くへ行った感じはない。それでも、水と影と人の明るさを順にたどった一日は、帰り道の景色まで少し変えていた。
この旅の足跡
- 江津湖では、日量約40万トンの湧水が水面を押し上げている。鳥の影が流れるたび、静かな湖にも奥行きがあると気づいた。
- 江津湖のほとりの動植物園は、9時から17時まで開いている。動物より先に、木々の葉がつくる細かな明暗に足を止めた。
- 水前寺成趣園は湧水の池を中心にした回遊式庭園で、出水神社も鎮まる。築山の明るさが、歩くたびに別の風景へ変わった。
- 健軍町から八丁馬場まで市電で約7分。窓の外の電線と建物の影が、歩道より速く街の表情を変えていった。
- 熊本市現代美術館は20時まで開館している。白い展示室に入ると、外の強い日差しが作品の色を別の温度に変えた。
- 健軍商店街ピアクレスには、買い物と飲食の店が並ぶアーケードがある。屋根に反射した午後の光が、通りを少し柔らかくしていた。