LoqiRoam · 旅日記
看板の赤から、水面の青まで
東川口から植物、神社、郷土資料、宿場町、煉瓦建築、水辺へ進み、駅前の色を町の時間として集めた。
東川口を出たときは、駅前の看板や店先から目立つ色を拾うつもりだった。最初に入ったグリーンセンターでは、温室や花の中で緑が一色ではないことに気づき、旅の見方が少し変わった。峯ヶ岡八幡神社では、朱塗りの大鳥居が木立の暗さを押し返していて、赤は明るさだけでなく時間も背負うのだと思った。鳩ヶ谷では郷土資料館で地域の記憶を見てから、日光御成道の商店街へ出た。古い道に新しい看板が重なる様子は、町が毎日色を塗り替えているみたいだった。最後に旧田中家住宅の煉瓦を見て、見沼代用水の水面へ戻ると、集めた色は建物や店だけのものではなく、歩いた距離そのものだったと感じた。
この旅の足跡
- 大温室や花菖蒲園もある川口市立グリーンセンターは、入口から緑の濃淡が何重にも見える。夏の光でどの葉がいちばん明るくなるのか、歩き出す前から気になった。
- 峯ヶ岡八幡神社は約700年の大銀杏と400本余りの木々が残り、朱塗りの大鳥居が照葉樹林の前でよく目立つ。赤と緑の境目を探すのが楽しかった。
- 鳩ヶ谷本町の郷土資料館は鳩ヶ谷地区の歴史を扱い、窓口は16時30分まで。外の暑さから入ると、町の色が展示物の中で静かに整理されているように感じた。
- 鳩ヶ谷宿の日光御成道は、かつて将軍の日光社参に使われた道で、今も商店街の連なりが残る。古い道の線に新しい看板が重なり、町の赤が少しずつ更新されていた。
- 旧田中家住宅は大正期の煉瓦造3階建て洋館で、北側に蔵棟も配されている。赤茶色の外壁を見ていると、駅前で集めた赤が急に建物の時間を持ちはじめた。
- 見沼代用水東縁は水路沿いに緑と遊歩道が続き、グリーンセンター方面まで桜並木の景色もつながる。最後に水面を見たら、今日の色が空へほどけていく気がした。