LoqiRoam · 旅日記

輪郭のないものを追って

老舗の菓子から石段、貨幣、砂絵、山上の島影、父母ヶ浜の水鏡へ。近い影と遠い影を往復した旅。

観音寺を出て、まず白栄堂へ向かった。創業の長い店で銘菓をひとつ眺めると、旅は名所を集めることより、土地の時間に触れることから始まる気がした。琴弾八幡宮では381段の石段を上り、木立の影が段ごとに濃くなるのを見た。道の駅ことひきに含まれる世界のコイン館では、125か国の小さな貨幣が並び、価値の形が国ごとに異なることを静かに考えた。その後、琴弾山の展望台から銭形砂絵を見下ろす。巨大な輪郭は整っているのに、松の影が縁を欠かせていた。午後はシャトルバスで高屋神社へ上がり、足元の影を瀬戸内の島影へ置き換える。最後に父母ヶ浜へ向かうと、干潮の潮だまりが空を映していた。風が吹けば消える景色だった。今日追っていたのは、残る影ではなく、消えながら別の輪郭を生む光だった。

この旅の足跡

  1. 白栄堂柳町本店は創業100年以上の老舗で、銘菓「観音寺」は黄身あんと洋風生地の組み合わせ。窓辺の影まで菓子の焼き印に見えてきた。
  2. 琴弾八幡宮は琴弾公園の山にあり、大鳥居から381段の階段が本殿へ続く。木立の影が段ごとに濃くなり、足音だけが古い時間を揺らした。
  3. 世界のコイン館には125か国、約2000点のコインや紙幣が展示される。小さな金属の反射を見ていると、価値の影が国ごとに違うことが不思議だった。
  4. 銭形砂絵は有明浜の白砂に東西122メートル、南北90メートルで描かれ、展望台から円形に見える。松の影が縁を欠けさせ、完成形に揺らぎを与えていた。
  5. 高屋神社本宮は標高404メートルの稲積山頂にあり、瀬戸内海と観音寺市街を一望できる。山上では足元の影より、島の輪郭の方が濃く見えた。
  6. 父母ヶ浜では干潮時の潮だまりが空を映し、夕暮れと風の弱い時間に鏡のような景色になる。水面の影は一歩ごとに崩れ、残らないからこそ見続けた。
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