LoqiRoam · 旅日記

まっすぐ行かない午後

鴨島の喫茶店から公園、藤井寺、阿波和紙、川島城、吉野川の潜水橋へ。生活、信仰、手仕事、地形を曲がり角でつなぐ旅。

鴨島駅を出たとき、行き先を決めすぎないほうがよさそうだと思った。まずは駅前の喫茶店を目印に、商業の町らしい生活の時間へ入り込む。そこから江川・鴨島公園へ曲がると、桜の名所という華やかな説明の裏に、冷たい名水とカッパやたぬきの石像が現れた。少し可笑しい寄り道のあと、藤井寺へ向かう。遍路道に足を置いた瞬間、歩く速度が変わった。次は阿波和紙の作業場へ。紙を漉く手の動きと、土地に残る古い時間を想像していると、旅が目で見るものだけではなくなっていく。川島城では視界が一気に開き、最後は潜水橋のそばで吉野川を眺めた。低い橋と大きな川。その不釣り合いさが、今日いちばん気に入った。

この旅の足跡

  1. 駅から少し外れると、鴨島は商業の町らしい生活音を隠していた。喫茶店の朝から夜までの長い時間割を見て、ここでは急ぐほうが場違いかもしれないと思う。
  2. 江川・鴨島公園には桜だけでなく、冷たい名水とカッパやたぬきの石像がある。花の季節でなくても、なぜここにこの表情の石像が並ぶのか、少し可笑しくて立ち止まる。
  3. 藤井寺は四国八十八箇所の第11番札所で、先には空海が歩いたまま残ると紹介される遍路道が続く。町歩きのつもりが、足音だけで千年の距離を測ることになる。
  4. 阿波和紙伝統産業会館では、8世紀初めから続く紙作りの系譜と、手漉きの作業場、展示、ショップが一つの場所に集まる。紙は薄いのに、土地の記憶は意外に厚い。
  5. 川島城は戦国の山城跡を城郭型に復元したものだが、今は川島公園の遊歩道や展望台と一体になっている。守るための高みが、風景を見る場所に変わっているのが面白い。
  6. 川島潜水橋は、日本最大の川中島とされる善入寺島へつながる。欄干のない低い橋は、景色に近いぶん天候の影響も受ける。川を渡る道が、道そのものを疑わせる。
地図と足跡で読む