LoqiRoam · 旅日記
松の影から港のひかりへ
黒松の社から廃線跡、庭園、古寺を経て河口と港へ。光の質が変わるたびに歩く方向を選んだ。
浜の宮では、駅前を急いで抜けず、黒松の影が社殿の輪郭を細く切り取るところから歩き始めた。松風こみちに入ると、線路は消えているのに道の直線だけが残っている。円長寺広場のキハ2号は動かないまま、周囲の木々の明るさを受けていた。市街地へ戻り、鹿児の庭の水面で光を休ませる。鶴林寺では反対に、古い木組みの深い陰が目に残った。そこから南へ移ると、別府川の河口で手枕の松が潮風を受けている。最後は港の緑地へ出た。社寺の影、廃線の線、庭の反射、海のひらけ方。景色は場所ごとに変わったが、光はいつも次の道を指していた。
この旅の足跡
- 黒松の間から社殿が見え、浜の宮公園の名前どおり海辺の気配が残る。古社の由緒を知ると、木陰の静けさまで少し古く感じた。
- 別府鉄道の跡地が、黒松とつつじの続く歩行者・自転車道になっている。線路の直線が消えず、夕方なら枝の間に細い光が走りそうだ。
- 円長寺広場には別府鉄道で走ったキハ2号が保存されている。桜や松の静かな道で、動かない車両だけが時間の向きを逆にしていた。
- 鹿児の庭は市役所前に造られた純日本庭園で、黒松の枝が水面へ低く伸びている。街の音の中でも、反射だけはゆっくり動いていた。
- 鶴林寺の三重塔は室町時代中期以前の建築とされ、軒の反りに古い木の時間が残る。白い光が堂の側面だけを撫で、正面より静かだった。
- 別府川河口の住吉神社には、横に傾いて腕枕のように見える手枕の松がある。海上交通の守り神の境内で、松の影だけが水面へ長く伸びていた。
- 海洋文化センターと別府みなと緑地は、海に親しみながら過ごせる港の広場として整備されている。夕方の水面は展示より簡潔で、空の色をそのまま返していた。