LoqiRoam · 旅日記

坂の記憶、水の小道、白壁の町

瀬野の交通の記憶と瀬野川の自然から、西条の古墳・国分寺・酒蔵へ。三つの発見を異なる時代の風景としてつないだ。

瀬野に着いて最初に目に入ったのは、駅と斜面の近さだった。かつて山側へ伸びていたスカイレールの記憶を調べると、今はもう走っていないことがわかる。その不在を少しだけ感じながら歩き出すと、瀬野川が町の音を水面へ受け渡してくれた。川沿いでは、植物や鳥の気配を探すうちに歩幅が小さくなり、旅の目的が名所を集めることから、変化を拾うことへ変わった。JRで西条へ移ると、三ツ城古墳の大きな鍵穴形が住宅地の中に現れ、さらに安芸国分寺歴史公園では、復元された講堂や僧坊の基壇が古代の町を静かに浮かび上がらせる。最後は酒蔵通りへ。白壁、なまこ壁、赤れんがの煙突が続く道を歩き、賀茂鶴の一号蔵で酒造りの道具と仕込みの文化を覗いた。締めくくりは、仕込み水で淹れる珈琲。坂、川、蔵。小さな発見を三つ集めたつもりが、土地の時間そのものを一杯ぶん持ち帰る旅になった。

この旅の足跡

  1. 瀬野駅の北側には、かつて斜面の団地へ上るスカイレールがあった。今は走らない線路の記憶だけが、駅と山の距離を少し不思議に見せている。
  2. 瀬野川のお散歩マップには、流域の歴史だけでなく植物や鳥の見どころも載っている。観光地らしい派手さはないのに、川が町の記憶帳になっている。
  3. 川沿いを少し歩くと、景色の主役が建物から水面へ移る。瀬野川は大きな名所ではないけれど、鳥や草の気配を拾うにはちょうどよく、歩幅が自然に小さくなった。
  4. 三ツ城古墳は全長約92メートルの前方後円墳で、今は公園として公開されている。住宅地の中で古代の鍵穴形が急に現れ、時間の重なり方に驚く。
  5. 安芸国分寺歴史公園には、講堂や僧坊の基壇、国師院の復元施設が残る。発掘の結果が公園の静けさに変わっていて、昔の町が足元から立ち上がる感じがした。
  6. 西条酒蔵通りは徒歩圏に七つの酒蔵が集まり、白壁やなまこ壁、赤れんがの煙突が続く。道を曲がるたびに蔵の表情が変わり、町全体が酒造りの展示室に見えた。
  7. くぐり門珈琲店は酒蔵通りの建物で、自家焙煎の珈琲を仕込み水で淹れている。酒を飲まずに酒都の水へ触れられるのが意外で、最後の一杯が旅の余韻になった。
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