LoqiRoam · 旅日記
石垣の向こうに川がある
国宝の社寺、城下町の商家、球磨川と食をつなぎ、人吉の小さな発見を三つ集めた。
相良藩願成寺を出ると、人吉は大きな見どころを順番に消化する町ではなく、曲がり角ごとに時間の厚みを見せる町になった。青井阿蘇神社の茅葺きと鮮やかな社殿で古い祈りに触れ、鍛冶屋町ではお茶蔵や商家の並びに暮らしの続きを感じた。町家ギャラリーで一服したあと、繊月酒造へ向かうと、球磨川の水が景色だけでなく焼酎の味にもつながっているとわかる。人吉城跡では武者返しの石垣と川を見下ろし、城が地形そのものを味方にしていたことに驚いた。最後は中川原公園から水音を追い、HASSENBAのパンケーキで締める。今日集めた三つの発見は、古い建物、土地の味、そして流れる川だった。
この旅の足跡
- 茅葺きの楼門をくぐると、鮮やかな社殿が思ったより近くに迫る。1200年の古社なのに、森の入口のような軽さもある。
- 鍛冶屋町はお茶蔵や味噌・醤油蔵が残る通り。古い商家の間に、今も暮らしの音がありそうで、観光地というより町の台所を覗く感じがした。
- 立山商店の町家ギャラリーは、木材商の本宅を老舗のお茶屋が使う場所。建物の履歴と一服が同じ部屋にあるのが面白い。
- 繊月酒造では約15分の蔵案内のあと試飲ができ、城跡や球磨川を望む城見蔵もある。飲む前から景色に酔いそうになった。
- 人吉城跡には石垣の武者返しが残り、球磨川と胸川を天然の堀にした城だった。高低差に立つと、地図の線が急に守りの形へ変わる。
- 中川原公園は球磨川沿いの憩いの場として整備が進む水辺。急流の町なのに、ここでは木陰と流れが旅人の速度をゆっくりにした。
- HASSENBAの九州パンケーキCafeは球磨川くだりの発船場にあり、10時から17時営業。甘い皿の向こうに川と城跡が見える終着がよかった。