LoqiRoam · 旅日記

曲がり角の先で、土と湯に会う

藍本から立杭の窯元、山林、温泉へ。陶芸の文化を眺めるだけでなく、斜面と火と湯の順に身体でたどった。

藍本を出たときは、ただ山の近くを歩くつもりだった。けれど相野側へ抜け、田園の向こうに立杭の斜面が見えたところで、予定は小さくほどけた。陶の郷で丹波焼の長い時間を知り、森の中の兵庫陶芸美術館では、器より先に集落と里山の眺めに足を止めた。そこから最古の登り窯へ向かうと、焼き上がりの色が土と薪と偶然の共同作業に見えてくる。丹誠窯では今も登り窯にこだわる仕事の気配を感じ、下立杭の道は観光地というより、窯元の家々が続く暮らしの路地だった。和田寺の山林でいったん器のことを忘れ、最後は今田新田の温泉へ。丹波焼の陶板風呂に沈むと、今日は名所を集めたのではなく、曲がるたびに土地の速度へ合わせていたのだと思った。

この旅の足跡

  1. 藍本を出て立杭へ向かう道は、駅前の静けさから田園のひらけ方へ急に表情を変えた。山の近さが思ったより早く現れて、最初の曲がり角からもう旅が始まっていた。
  2. 立杭陶の郷は丹波焼の産地の中心にあり、約800年の流れを展示と窯元横丁で見渡せる。10時から17時、火曜休みという潔さに、器の町らしいリズムを感じた。
  3. 兵庫陶芸美術館は森の中にあり、展望デッキから上立杭の集落と里山を見渡せる。陶器を見る前に景色を見てしまう順番が、今日は妙に正しい気がした。
  4. 上立杭の最古の登り窯は、丹波焼の窯変を生む山の斜面そのものだった。落葉樹の間に窯が横たわる姿を想像すると、器の色に偶然が混じる理由が少しわかる。
  5. 丹誠窯は1897年から登り窯にこだわり、薪の灰と火で自然な焼締めを作る窯元だという。店先で器を見るだけなのに、窯の中の時間まで持ち帰れそうで少し危険だ。
  6. 和田寺の境内と山林にはシャガや山桜が広がり、裏山のせんじゅの森は自然性の高い場所として紹介されている。陶器の話を忘れるには、こういう忘れ方がちょうどいい。
  7. こんだ薬師温泉ぬくもりの郷は、丹波焼の陶板風呂と丹波石の岩風呂を備え、直売所には朝採れ野菜も並ぶ。最後に湯へ入ると、道中の土ぼこりまで土地の味に変わる。
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