LoqiRoam · 旅日記
用水の音から、崖の上の堂まで
美里から小諸の生活線、北国街道、酒蔵、庭園、穴城を経て、布引観音の崖へ遠回りした一日。
美里では、駅前の広さに少し戸惑った。観光地らしい入口がないので、まず小海線沿いの生活の気配を追い、乙女のあたりで一度降りることにした。そこから小諸へ向かうと、道はゆるく坂になり、北国街道の町家や用水の記憶が角ごとに現れる。本町では表通りを素直に歩かず、軒の切れ目を見つけて脇へ入った。古い建物の影から大塚酒造の蔵へ進み、硬水で醸す酒の話に、この町の地形が味にも残ることを感じる。停車場ガーデンで花を眺めてから大手門公園を抜け、懐古園へ。駅のすぐそばなのに、城跡は街より低い。最後は予定を少し裏切って布引観音へ向かった。崖の地層と堂の高さを見上げると、路地の曲がり角で探していた『次の景色』が、町の外にも続いていた。
この旅の足跡
- 美里駅は工業団地への通勤のために造られた小さな小海線駅で、駅前の余白が妙に広い。旅の始まりなのに、まだ町がこちらを急かしてこないのが面白い。
- 乙女駅の小海線は、観光列車の華やかさより生活線の気配が濃い。線路の向こうに町が途切れ、こちら側にだけ風が残る感じがして、降りてみたくなった。
- 本町の北国街道には、軒の揃った町家と中央の用水、かつての井戸の記憶が残る。表通りから一本外れると、建物の古さが急に近くなるのが嬉しい。
- 大塚酒造は古い蔵や商店が残る小諸の町中で、硬水を生かした『浅間嶽』を醸している。昼の通りに酒蔵の時間が混ざると、町が少し深く見えた。
- 小諸駅近くの停車場ガーデンは、花と緑のある大手門公園の一角。古い町を歩いたあとに、駅前で植物を眺めながら休める配置が少し気まぐれでいい。
- 懐古園は小諸駅から徒歩約3分なのに、城跡が市街地より低い『穴城』になっている。線路を越えた瞬間に地面が沈み、町の見え方まで変わるのが印象的だ。
- 布引観音は崖に建つ堂だけでなく、古小諸湖の地層が露出する布岩も見どころ。『牛にひかれて』の伝説を聞いたあと、参道の曲がり方まで物語に見えてくる。