LoqiRoam · 旅日記
白壁から川面へ
国宝の屋根、朱色の社、城の鉄板、緑の商店街を経て、芦田川の水面へ。街の光が少しずつ広がった。
備後本庄を出ると、朝の光はまだ街を決めきらず、明王院の五重塔の屋根に細く留まっていた。草戸稲荷神社では朱色の社殿と遠くの市街が一度に視界へ入り、歩く方向が少し大きくなる。福山城へ移ると、白壁の北側だけが黒く沈んだ。防御のための鉄板が、光を分ける意匠にも見える。伏見櫓では城の規模から離れ、移築された木の柱に残る時間を眺めた。その後、本通商店街へ下る。空の見えるStreet Gardenでは、木の影と店先の気配が旅を暮らしの側へ戻してくれた。最後に芦田川へ出る。芝生、遊歩道、親水護岸の順に視界がひらき、橋の影が水面でほどける。朝から拾ってきた光の変化は、そこでようやく一つの静かな景色になった。
この旅の足跡
- 明王院の五重塔は1348年建立の国宝で、坂の上で屋根の線だけが朝の斜光を返していた。古さより、街の音が遠のく瞬間に驚いた。
- 草戸稲荷神社は朱色の社殿を高い位置から眺められ、福山市内まで視線が抜ける。太鼓橋の赤と空の白さが予想より強く残った。
- 福山城天守は北面に鉄板張りを持ち、白壁との境目が光を二つに分けていた。防御の工夫なのに、遠目には大胆な意匠に見える。
- 伏見櫓は京都伏見城から移築された三層の櫓で、柱の暗さと白壁の明るさが近くで分かれる。城の大きさより、残った木の時間が気になった。
- 福山本通商店街はアーケードを外し、とおり町Street Gardenとして空と緑の通りになった。店先の影が木の葉で揺れ、城下町が生活へ戻る感じがした。
- 芦田川かわまち広場には芝生と親水護岸、約3キロの遊歩道がある。橋の影は水面でほどけ、今日追ってきた明暗が最後に静かな幅を持った。