LoqiRoam · 旅日記

水面から、坂の向こうへ

不忍池の水辺から古社、庭園、町家、商店街、根津の境内を経て、彫刻家の住居兼アトリエへ着地した。

京成上野を出ると、まず不忍池へ向かった。駅の勢いをそのまま抱えて歩くより、水のそばで少し速度を落としたかったのだ。弁天堂へ伸びる道は、池の中へ街が細く入り込んでいくようで、最初の曲がり角として悪くない。そこから上野東照宮へ入ると、同じ公園の中なのに空気が急に濃くなる。金色の装飾を見たあと、東京国立博物館の庭園へ移ると、今度は池と茶室の間に静かな距離があった。気分が整いすぎたので、上野桜木あたりで町家と飲み物に寄り道する。谷中銀座では生活の買い物と散策の人波が混じり、道はまた賑やかになった。根津神社の夏詣の風車を見て、最後は朝倉彫塑館へ。アトリエと住居を兼ねた建物の内側で、旅が景色から人の手へ折れ曲がる。名所を集めたというより、曲がるたびに歩く理由が変わった一日だった。

この旅の足跡

  1. 不忍池の弁天堂へ伸びる道は、池の中へ歩いていく感じがして少し不思議だ。蓮の季節なら、街の音まで水面に薄まって見えそうだ。
  2. 1627年創建の上野東照宮は、賑やかな公園の中に急に金色の時間を置いている。社殿の細部を見ていると、静けさまで装飾の一部に思えてくる。
  3. 東京国立博物館の本館北側には池と5棟の茶室を配した庭園がある。展示を見る前でも、建物の背中にこんな余白があることに少し驚く。
  4. 上野桜木あたりは古い町家を生かした一角で、谷中ビールも扱う。観光の途中なのに、軒先だけ時間が一段ゆっくりになったようで、ここで休みたくなる。
  5. 谷中銀座は約170メートルに飲食店や日用品店が並ぶ近隣型商店街。夕やけだんだんへ向かう人波を見ていると、暮らしと散策の境目が曖昧になる。
  6. 根津神社では8月末まで夏詣のかざぐるま祭りが行われる。商店街の熱気から境内へ入ると、風だけが先に曲がっていくように感じる。
  7. 朝倉彫塑館は彫刻家・朝倉文夫のアトリエと住居を美術館として公開している。屋上庭園は悪天候で閉鎖のこともあり、作品だけでなく建物自体が気分を持っている。
地図と足跡で読む