LoqiRoam · 旅日記

水辺へほどける音

下飯田の社寺から古道と公園を経て、境川の水辺へ音をたどった。

下飯田を出て、まず木立の中の左馬神社へ向かった。車の音が遠のくと、銀杏の枝の間に空気の粒が見えるようで、石仏の並ぶ境内には土地の記憶が低い声で残っていた。そこから東泉寺へ歩く。薬師堂と鎌倉道の話を知ると、足音ひとつにも昔の道を重ねてしまう。隣の琴平社では、水難守護という由緒に出会い、境川がただの景色ではなく、暮らしを揺らしてきた存在だと気づいた。富士塚公園でいったん風を受け、住宅地の上に残る小さな高まりを眺める。最後は遊水地公園まで足を延ばした。ビオトープの草、水面、鳥の気配が、駅から続いてきた音をゆっくりほどいていく。

この旅の足跡

  1. 境内には樹齢を重ねた銀杏があり、石仏や塔も静かに残っている。鳥居をくぐると車道の音が薄くなり、なぜこの森だけ時間が違うのか気になった。
  2. 東泉寺には飯田家義ゆかりと伝わる薬師堂があり、門前を鎌倉道が通る。古道の上に立つと、今の生活音の下に別の歩行の記憶があるように思えた。
  3. 元木琴平社は東泉寺の鎮守として勧請され、水難守護の神を祀る。小さな社なのに境川の氾濫と結びついていて、水の気配が急に近くなった。
  4. 富士塚公園は下飯田駅から徒歩圏にあり、かつての館跡にあたると案内されている。住宅地の中で少しだけ地面が高く、風の通り道を見つけた気がした。
  5. 境川遊水地公園にはビオトープや芝生広場があり、水辺の植物や鳥を観察できる。増水時は利用制限もある場所で、静けさの中に川の力を感じた。
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