LoqiRoam · 旅日記
朱色から水の透明へ
伏見稲荷の朱から、神社の湧き水、商店街、酒蔵、旧本店の喫茶、寺と水辺の静けさへ色をつないだ。
JR藤森を出て、まず列車で北へ向かった。伏見稲荷の朱色は想像どおり強かったけれど、鳥居の隙間から見える緑が細くて、色は足し算だけではないのだと思った。そこから伏見へ戻ると、御香宮神社では桃山風の彫刻と湧き水に出会い、赤の旅が透明な水へほどけた。大手筋や納屋町の商店街では、酒蔵の町なのに甘酒、クラフトビール、昔ながらの店先がそれぞれ違う顔を見せていた。にぎわいの先で月桂冠大倉記念館の道具と白壁を眺め、伏見夢百衆の大正建築で水出しコーヒーをひと休み。暑さが強い日だったので、船の運航時期にも無理に合わせず、最後は長建寺の門と堀川の静けさへ歩いた。駅前の色を集めるつもりが、最後に残ったのは、朱、木、白壁、緑、そして水の透明さだった。
この旅の足跡
- 朱色の鳥居が山の斜面へ吸い込まれていく。早朝でも歩けると確認できたので、駅前の赤を探す旅の最初に選んだ。近くで見ると、鳥居の隙間から緑が細く見えるのが意外だった。
- 御香宮神社は桃山風の彩色彫刻と、名の由来になった香り高い水で知られる。朱色だけを追っていたのに、冷たい水の透明さがいちばん印象に残った。境内の蘇鉄が京都で元気なのも不思議だ。
- 大手筋・納屋町・竜馬通りは、昔の城下町の道筋に商店が続く場所。石畳やレトロな店構えに、酒蔵とは違う生活の色が並ぶ。 craft beerや甘酒の店まであり、通りの味が一色でないのが面白い。
- 月桂冠大倉記念館は1909年の酒蔵を改修した展示空間で、昔の道具と伏見の地下水による酒造りを伝えている。白壁の前に立つと、商店街の色が急に静かな木の茶色へ変わった。
- 伏見夢百衆は1919年完成の月桂冠旧本店を使った喫茶と販売の場所。大正建築の高い天井や欄間を眺めながら、水出しコーヒーや甘味で休める。酒の町なのに、休憩の色がやわらかい。
- 長建寺は伏見の水辺にある寺で、酒蔵の白壁や堀川の流れから少し離れると、門まわりの落ち着いた色が見えてくる。派手な朱を集めた一日の終わりに、静かな緑と土の色が残った。