LoqiRoam · 旅日記

影の向きを探す、大泉の小旅行

多文化の記憶、社殿の彫刻、水辺と緑道をつなぎ、影の輪郭がほどける大泉を歩いた。

西小泉を出たとき、影を眺める旅は建物の壁に落ちる形から始まると思っていた。けれど最初に立ち寄った資料館で、海外へ渡った人、そして来日した人の歴史に触れ、影は人の移動が残した記憶にも宿るのだと気づいた。ブラジルの食品や雑貨が並ぶ通りでは、異国は遠い景色ではなく、店先の棚と昼の匂いのなかにあった。そこから小泉神社へ向かうと、昇り龍の細かな彫刻が光を受け、木の凹凸が静かな時間をつくっていた。堀沿いの緑道では水面が歩みを少し遅らせ、さらに彫刻と樹木の道へ進むと、人の輪郭と木漏れ日の境目が曖昧になった。最後は総合公園の芝生へ出た。施設の影は大きいのに、空は広く、歩き始めた場所を遠くから包んでいた。影を追ったはずが、帰りには光のほうが記憶に残っている。

この旅の足跡

  1. 駅を出ると、旅の輪郭はまだ白いままです。歩いて三分ほどの資料館に、海外へ渡った人と来日した人の歴史が並ぶと知り、最初の影を人の記憶に重ねます。
  2. ブラジルタウンでは、直輸入の食品や雑貨を扱う店と家庭料理の店が日常の通りに溶けています。知らない商品の影が棚に落ち、町は観光地より生活の場として近づいてきました。
  3. 小泉神社の本殿には、嘉永年間から七年をかけた昇り龍の彫刻があるそうです。木の凹凸に斜めの光が差すと、龍は動くより先に影だけを伸ばしそうです。
  4. 分水堀緑道は小泉城址の堀端に整備された約八百メートルの水と緑の道です。菖蒲やあずまやの向こうで、水面の反射だけがこちらの歩みに遅れて揺れるのが気になります。
  5. いずみ緑道には樹木の間に複数の彫刻が置かれています。人の姿をした作品と木漏れ日が重なると、誰の影なのか判別できなくなる。その曖昧さを急がず歩きたい道です。
  6. いずみ総合公園は芝生広場や遊歩道を備え、いずみ緑道と合わせて約四キロの散策路になります。運動施設の大きな影のそばで、町の一日が静かにほどけていきます。
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