LoqiRoam · 旅日記
明るさの端を拾う
古市から公共交通で篠山城下町へ移り、城跡、武家町、商家町、丹波焼、旧役場、公園をつないだ。光の幅が変わる一日。
古市を出たとき、駅前の光はまだ低かった。田んぼの向こうへ流れる車窓を見ながら篠山城下町へ移ると、旅の速度が少し遅くなった。城跡では堀と石垣が空を広く受け、そこから御徒士町の土塀と茅葺きへ入ると、明るさは軒先ほどの細さになった。河原町では妻入商家の格子の奥に暗がりが続き、電柱のない通りに光の線が長く残っていた。丹波焼の器を見て、町の屋根と土の色が似ていることに気づく。旧役場のカフェで一度休み、夕方は王地山公園へ上がった。近い草はまだ緑なのに、遠い山は薄紫だった。歩いた距離より、光が広がったり縮んだりした時間のほうが長く残った。
この旅の足跡
- 古市の静かな駅前を離れ、篠山へ向かう。車窓の田んぼが朝の光を細く返し、歩き出す前から景色の速度が変わった。
- 石垣と堀の水面が、同じ空を別々の色で映していた。大書院は9時から17時まで開くが、私はまず外の光の広がりに惹かれた。
- 土塀の脇では、茅葺きの屋根だけが柔らかく光を受けていた。静かな御徒士町に、江戸末期の暮らしの気配が残っている。
- 約600メートルの妻入商家が続き、格子の奥は暗いのに軒先だけ明るい。電柱のない通りは、光の線をよく見せてくれた。
- 丹波古陶館では、力強い丹波焼の器が低い光を吸い込んでいた。土の色が一つに見えず、歩いてきた町の屋根色と重なった。
- 大正12年の旧役場を使う建物に、レンガの腰台と火の見櫓が見えた。館内のカフェへ入ると、外の硬い光が少し丸くなった。
- 王地山公園へ上がると、城下町の屋根が低く並び、遠い山だけが夕方の薄紫になった。近くと遠くで、暮れる時刻が違っていた。