LoqiRoam · 旅日記
水音から湯けむりへ、建部の聞こえ方
建部駅の歴史から旭川、水辺の学び、温泉、地元の乳製品、古民家の炭火、福渡の眺めへ、音の変化でつないだ旅。
建部では、駅を降りた瞬間に大きな見どころへ急がなかった。明治から残る木造駅舎の静けさを背に、旭川の魚や郷土玩具に出会えるめだかの学校へ向かう。水辺の生きものを眺めていると、景色は目で見るだけでなく、流れの音からも始まるのだと思った。その後は、旭川のせせらぎを感じられるたけべ八幡温泉へ。歩いてきた身体が湯に沈むと、町の音が一枚ずつほどけていく。湯上がりには建部ヨーグルトの酸味とコクを味わい、さらに古民家を改装した田渕商店で、七輪の団子を焼く時間を想像した。静かな水音から、炭のぱちぱちという人の手の音へ。最後は福渡八幡神社の高みから町を見下ろし、鳥の声と風だけを残して旅を閉じた。遠くへ行ったというより、同じ土地との距離を何度も変えた一日だった。
この旅の足跡
- 明治期に開業した木造駅舎は、列車を待つ場所でありながら、古い戸の音まで想像させる。建部の旅は、まずこの静かな時間の層から始まった。
- めだかの学校では、旭川の魚を展示する淡水魚水族館と、自然素材の郷土玩具を集めたおもちゃの宿に出会える。水の世界が思ったより近かった。
- たけべ八幡温泉は10時から21時まで日帰り入浴ができ、旭川のせせらぎを感じながら露天風呂や源泉かけ流しの湯に入れる。歩く音が湯にほどけた。
- 建部ヨーグルト工房では、町内産の生乳を使ったヨーグルトや、酸味とコクのあるヨーグルソフトを味わえる。湯の余韻が、冷たい甘さに変わった。
- 田渕商店は旭川のほとりの古民家を改装した店で、七輪で団子を自分で焼ける。炭のぱちぱちした音を想像すると、旅が急に人の手の近くへ戻ってきた。
- 福渡八幡神社の境内からは建部の町を一望でき、鳥のさえずりも聞こえるという。近くで集めた音が風に薄まり、最後に景色全体の呼吸が残った。