LoqiRoam · 旅日記
水の底から、森の斜面まで
湧水、民俗資料、城跡、温泉町、山の湯、森の作品をつなぎ、土地の影が変わる瞬間を追った旅。
吉松を出て最初に見た丸池湧水は、深い青の底へ木々の影をそのまま沈めていた。そこからえびの市歴史民俗資料館へ向かうと、田の神さぁや農具の記憶が、今も田畑のそばで息をしているように感じられた。加久藤城跡では川内川と丘の険しさを見下ろし、過去の緊張が現在の田園へ静かにほどけているのを眺めた。京町温泉駅の小さな交流拠点で列車の時間に身を預け、旅はいったん人の気配へ戻る。やがて白鳥温泉上湯の湯気の向こうに盆地が開け、最後は栗野岳中腹の霧島アートの森へ。森の中の作品と木漏れ日の影は、どちらが置かれたものなのか分からないまま、帰り道にも残った。
この旅の足跡
- 丸池湧水は、池の底から立ち上がる青が想像より近く、岸の木々の影まで水の中へ沈んでいた。竹灯籠の夜とは別の、昼の静けさに少し驚く。
- えびの市歴史民俗資料館では、田の神さぁのような農村の記憶が無料で見られる。外の光が展示室に入ると、道具の影まで暮らしの続きに見えてくる。
- 加久藤城跡は川内川北岸の丘上にあった城で、四方の険しさが地形そのものに残る。田んぼと民家を見下ろすと、戦の場所が生活の風景へ戻っている。
- 京町温泉駅観光交流センターは駅舎と案内所が重なる小さな場所。列車を待つ時間に温泉町の気配が濃くなり、旅の影がいったん人の声へ戻ってくる。
- 白鳥温泉上湯は日帰り入浴が7時から20時までで、山の湯からえびの市を見下ろせる。湯気で景色が揺れ、遠くの斜面の影だけが確かだった。
- 霧島アートの森は栗野岳の中腹にあり、野外作品が森の斜面や木漏れ日と並んでいる。作品の影なのか木の影なのか、近づくほど境目が曖昧になる。