LoqiRoam · 旅日記
白い湯気と、選ばなかった直線
亀川の海辺から路地、郷土料理、竹工芸、鉄輪の湯けむり、地獄蒸しを経て海浜公園へ戻る、寄り道中心の別府旅。
亀川駅を出たとき、今日は駅前を几帳面に消化する旅にはしないと決めた。海の方へ少し寄り、温泉地の隣にある漁の気配を探す。潮の匂いを拾ったところで路地へ折れ、別府らしい郷土料理の話を思い出して一度立ち止まった。そこから竹工芸の展示へ向かうと、町を歩くことと、町が手で形づくられることが不思議につながった。午後は公共交通で鉄輪へ転換。湯けむりを遠くから眺め、近づいて、地獄蒸しの台所のような熱に触れる。最後は海浜公園へ戻った。砂湯の歴史と新しい風景が同じ海辺に並び、途中で選ばなかった直線まで旅の一部に思えてきた。迷いは、案外よい地図だった。
この旅の足跡
- 海の気配を探して亀川の海岸側へ寄ると、温泉地のすぐ隣に漁の町らしい静けさが残っていた。観光の入口を少し外すだけで、町の呼吸が近くなる。
- 湯けむりの町で食べると、料理まで少し温泉寄りになる。別府の郷土料理は、だんご汁やとり天の素朴さに土地の温度があり、何を選ぶか迷う時間も楽しい。
- 竹の編み目は、温泉の湯気より几帳面だった。別府竹細工の展示とショップを見ていると、路地の曲がり角も誰かの手で少しずつ形づくられたように思えてくる。
- 別府の湯けむりは、遠くから見ると地図の上に白い印をつけたようだ。鉄輪・亀川の地獄地帯には古い記録も残り、景観と歴史が同じ蒸気から立ち上がっている。
- 地獄という大きな名前の裏側で、鉄輪には細い道と生活の音がある。地獄蒸しは98度の噴気を使う伝統料理で、観光施設なのに台所の延長のように感じられた。
- 高台ではなく海辺の公園へ戻ると、別府湾が急に静かになった。砂湯の歴史と新しい施設が同じ海岸線に並び、温泉町の終わり方まで少し気まぐれだった。