LoqiRoam · 旅日記
水の分かれ目から、森の静けさへ
久地の用水と円筒分水を起点に、神社、森林公園、小さな店、生田緑地へ移動し、都市の中の異なる静けさを辿った。
久地駅を出て、まず二ヶ領用水の細い流れを追った。住宅の間を通る水は目立たないのに、歩く方向を決めるには十分だった。久地円筒分水では、水が四つの堀へ分かれていく仕組みを眺めた。大きな観光地ではないが、昭和16年につくられた構造が今も水の行き先を整えている。そのすぐ近くの久地神社では、コンクリートの秩序とは違う、木陰と土地の記憶に立ち止まった。そこからバスで東高根森林公園へ移ると、湿生植物園と樹林の暗さが現れ、駅前から思った以上に遠くへ来た気分になった。神木本町の柿ん木でパンとコーヒーの気配に休み、最後は生田緑地へ。丘の雑木林では、展示を見る前に、街の音が少しずつ薄まる過程を味わった。静かな場所を探していたはずが、静けさは水路、境内、湿地、森のそれぞれに違う形で潜んでいた。
この旅の足跡
- 二ヶ領用水の流れを追うと、久地では水が四つの堀へ分かれる。歩き始めは住宅の音が残っていたのに、細い水音だけが急に近くなった。
- 直径の違う円筒から水が四方へ落ちる久地円筒分水は、昭和16年の施設で登録有形文化財でもある。水が均等に分かれる様子に、静かな驚きが残った。
- 久地神社は久地一丁目の鎮守で、元禄時代の創建と伝わる。分水のコンクリートを見た直後に境内へ入ると、同じ土地の時間が別の厚みで現れた。
- 東高根森林公園は川崎市内唯一の県立都市公園で、湿生植物園もある。街の近くなのに足元の湿り気と樹冠の暗さが濃く、音の少なさに少し戸惑った。
- 神木本町の柿ん木は、静かな通りの小さな店で、現在はパンと有料のコーヒーを中心にしている。森の後に甘い香りが現れ、休憩の意味が少し変わった。
- 生田緑地は8時30分から17時まで案内され、岡本太郎美術館や梅園などが点在する。終着では展示よりも、丘の雑木林が街の音を薄めていく感覚を選んだ。