LoqiRoam · 旅日記
角をひとつ多く曲がる
香久山の信仰、昆虫館、藤原京の資料と眺望を、山裾の曲がり角でつないだ旅。
香久山を出たとき、今日は何かを見に行くより、道がどちらへ誘うかを聞いてみようと思った。山裾の神社では、古い信仰が住宅地の生活音と隣り合っていた。細い道をさらに折れると、空井戸を祀る小さな社に出会う。そこから香久山公園の昆虫館へ移ると、石積みの建物とガラス温室の蝶が、歴史の山に不思議な明るさを足していた。資料室では瓦や木簡を眺め、藤原京を抽象的な名前ではなく、道と建物を持つ街として想像し直した。藤原宮跡の広い空の下では、三山の稜線と雲の動きが、展示の続きを外で見せてくれる。帰りは整然とした古代の線を離れ、低い家並みの間の生活道へ。大きな事件はない。でも、行き先を決めすぎない日は、町のほうから小さな答えを差し出してくれる。
この旅の足跡
- 山の北側で、木立の奥に社殿がひっそり現れた。古代の山への信仰が、今は住宅地の音と隣り合っている。その境目が妙に気になる。
- 細い道の先に、天の岩戸を祀る小さな社がある。大きな建物ではないのに、空井戸をご神体とする話が空間を急に深くしていた。
- 香久山公園の山裾に、石積みの外壁とガラスの放蝶温室が見えてくる。古代の山の隣で蝶が飛ぶ取り合わせに、少し笑ってしまった。
- 瓦や土器、木簡が並ぶ資料室で、藤原京が急に具体的な街として立ち上がった。道の跡を歩く前に、出土品の小ささを見ておくのは効いている。
- 藤原宮跡は建物より空の広さが印象に残る場所だった。大和三山を三方に望めるという説明を思い出し、雲の動きまで古代の背景画に見えてきた。
- 整然とした古代の都の線を離れると、低い家並みの間に生活の曲がり角が戻ってきた。名所ではないのに、ここで旅が終わる感じがちゃんとある。