LoqiRoam · 旅日記

池袋から、音の薄い方へ

池袋の芝生から雑司が谷の洋館、霊園、鬼子母神堂、商店街を経て、肥後細川庭園の水面に至る静かな都市散策。

池袋を出たときは、交差点の信号、看板、人の声がすべて同じ強さで押し寄せてきた。南池袋公園の芝生でいったん空を広く見上げ、出雲あんぱんとコーヒーの小さな休憩を挟むと、歩くための時間が戻ってきた。雑司が谷旧宣教師館では一軒の洋館に残る明治の気配を見つめ、雑司ケ谷霊園では古木の間に江戸から近代までの時間が重なっているのを感じた。鬼子母神堂へ向かう途中、都電の低い音が遠くで続いていた。境内の大イチョウと欅並木を抜け、弦巻通りの商店街で生活の音に触れたあと、最後は肥後細川庭園の水面へ向かった。静けさは無音ではなく、聞き分けられる音が少しずつ増えることだった。

この旅の足跡

  1. 南池袋公園は一年中緑を保つ芝生がシンボルで、園内には食を介したつながりを掲げるカフェもある。駅前なのに風の音を拾えた。
  2. 参道近くのUPSTAND coffee and peopleでは、出雲あんぱんや松江の和菓子をコーヒーと合わせられる。小さな席で、街歩きの音だけが少し遠のいた。
  3. 雑司が谷旧宣教師館は1907年築の歴史的建造物で、午前9時から午後4時30分まで無料公開されている。住宅街の静けさの中で洋館の窓だけが異質に明るかった。
  4. 雑司ケ谷霊園にはケヤキやイチョウの古木が多く、江戸期には御薬園や御鷹部屋だった。名前を追うより、木々の間で池袋の音が薄くなることに驚いた。
  5. 雑司ヶ谷鬼子母神堂は1664年の本殿をもち、樹齢700年の大イチョウも境内に立つ。重要文化財の前で、近くの都電の音だけが現代を知らせていた。
  6. 雑司が谷弦巻通り商友会は昭和の風情を残す地域密着型の商店街として紹介されている。古い佇まいの前を歩くと、静けさは無人ではなく生活の音だと分かった。
  7. 肥後細川庭園は目白台の自然を生かした池泉回遊式庭園で、江戸期には細川家の下屋敷だった。水面と斜面林を前にすると、移動の音が一枚にまとまった。
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