LoqiRoam · 旅日記
線路のそばから城下町へ、小さな発見を三つ
権現前の静かな田園から嬉野の考古資料、松阪の城跡と旧図書館、武家屋敷を巡り、多気のカフェで締めくくった。
権現前では、駅の西側に田畑と森林が広がるという案内に惹かれて、まず線路のそばの静けさを想像した。すぐ近くの嬉野考古館では、遺跡の出土資料と重要文化財の鴟尾に出会う。小さな会館の中に、屋根の先端を飾った古代の存在感があるのが一つ目の発見だった。そこから松阪の城下町へ移ると、松坂城跡の石垣の高低差が、天守のない景色にも十分な迫力を与えていた。次に入った歴史民俗資料館は、かつて図書館だった建物で、いまは小津安二郎の記憶も受け止めている。建物の役目が変わりながら町の記憶を残すことが二つ目。最後に御城番屋敷の石畳と槇垣を歩き、道そのものが住まいの一部になる感覚を味わった。旅の終わりは多気のCafe Marae。志摩で磨かれた料理人の経験が山側の町に届いていることが三つ目の発見で、歴史の旅は一杯の休憩でやわらかくほどけた。
この旅の足跡
- 駅の西側には田畑と森林が広がると知り、線路と農地が並ぶ景色を想像した。都市の入口なのに、最初の一歩から空気が少しゆっくりしている。
- 嬉野考古館には地域の遺跡から出土した資料や、重要文化財の鴟尾が展示されている。小さな町の会館に、屋根の先端を飾った大きな歴史が収まっているのが意外だった。
- 松坂城跡は石垣の高低差が残り、隠居丸には本居宣長の旧宅がある。天守がないのに、地面の段差だけで城の輪郭が立ち上がってくるのが面白い。
- 松阪市立歴史民俗資料館は1911年に飯南郡図書館として建てられ、現在は小津安二郎松阪記念館も入る。図書館だった建物が、町の記憶をしまう場所へ変わった。
- 御城番屋敷は江戸末期に紀州藩士が松坂城を警護するため移り住んだ武家屋敷で、石畳と槇垣が続く。道そのものが住まいの一部に見えて、歩く音まで昔に近づく気がした。
- 多気町相可のCafe Maraeは、志摩観光ホテルのラ・メールで腕を磨いた店主のカフェとして紹介されている。城下町の余韻に、海辺の料理人の経験が重なるのが楽しい。