LoqiRoam · 旅日記
潮の角度を歩く
牟岐川から大樹、魚介の味、内妻海岸、旧道の隧道、貝の資料館をつなぐ光の散歩。
牟岐川の水面から歩き始めた。海はまだ見えないのに、川の明るさだけが先に太平洋の方角を教えてくれる。八幡神社のクスノキの下では、強い夏の光が緑に薄まり、昼の時間が少し長くなった。魚介の味を挟んで町を離れると、内妻海岸の白い砂が視界を一気に広げた。旧道のあじさいの葉をたどり、松坂隧道の入口で大正のコンクリートに触れる。暗い道を抜けたあと、貝の曲面に溜まる光を見て、海は外側だけでなく、殻の内側にも残るのだと思った。帰り道の町は、出発したときより静かで、窓や水たまりの小さな反射まで帰路の目印になった。
この旅の足跡
- 牟岐川は町の中心を抜けて太平洋へ注ぐ。水面の明るさだけが先に海を知らせ、川沿いの緑には夏の涼しさが残っていた。
- 八幡神社のクスノキは推定500年、幹周り約6.2メートル。大きな樹冠の下では、真昼の光まで緑色に薄まって見えた。
- 牟岐55ラーメンは港町らしい魚介味を掲げ、昼と夜に営業している。湯気の向こうで、外の強い光が一度やわらいだ。
- 内妻海岸は白い砂浜が続くサーフスポット。波の縁だけが銀色にほどけ、砂の上の影は思ったより青く見えた。
- 内妻の旧国道沿いには約2キロのあじさいロードがあり、約4000株が植えられている。季節を過ぎても葉の重なりが道を柔らかくした。
- 松坂隧道は大正10年に完成したコンクリート造りの旧国道トンネル。入口の銘板に差す光が、道の長さを一瞬だけ見せた。
- モラスコむぎは1986年に貝の資料館として始まり、今は休憩や交流の場も備える。貝殻の曲面に、外の海とは違う光が溜まっていた。