LoqiRoam · 旅日記
水面と石壁のあいだ
古民家喫茶から水辺、文学、石造建築、旧河道を経て、藻岩山の眺めで一日を閉じた。
西線11条から歩き始めると、最初に見つかったのは西屯田通りの古民家喫茶だった。焙煎機のある店内で時間を整えてから、中島公園の菖蒲池へ向かう。水面と木々の間では、路面電車の音さえ遠い。隣の文学館で北海道の言葉に触れると、静かな景色にも誰かの記憶が積もっていることが分かった。午後は札幌市資料館へ移動し、軟石と煉瓦の建物を見上げる。そこから円山の旧界川跡へ入ると、華やかな通りの裏側に細い道と小さな祠が残っていた。最後は藻岩山へ上り、街を一望する。静けさは何もない状態ではなく、喫茶店の湯気、水の揺れ、石壁の冷たさ、木立の葉音が順番に重なったものだった。
この旅の足跡
- 西屯田通りの住宅街に、古民家を改装した自家焙煎の喫茶店がぽつんと残っている。昼から夜まで開くのが意外で、ここでは時間の流れ方まで違うのかと少し疑問に思った。
- 菖蒲池の水面と大木の影が、都心の道路からほんの少し入っただけで別の速度をつくっている。日本庭園は季節営業で17時までと知り、静けさにも時間割があることに気づいた。
- 文学館は公園の緑の中にあり、展示室は17時まで、入場は16時30分までだった。散歩の途中で北海道の言葉に触れられる配置が面白く、街は記憶を隠さず置いているのだと思った。
- 大通公園の西端に、札幌軟石の旧控訴院庁舎が立っている。石と煉瓦の重さが街の中心の明るさを少し落ち着かせ、裁判所だった建物が今は展示の場なのが印象に残った。
- 円山の旧界川跡には、川の代わりに細い遊歩道が残り、裏参道の華やかさから急に住宅の静けさへ切り替わる。道祖神の小さな祠まで現れるので、ここは何を守ってきた道なのか気になった。
- 藻岩山の山頂からは札幌の街並みだけでなく石狩湾まで見渡せる。原始林を抱えた山が市街地の中央にあることが最後まで不思議で、近くにあった街の音が遠い層へ沈んでいった。