LoqiRoam · 旅日記
書体の変わる道、空へほどける午後
川崎大師の参道から市役所の展望、複合施設、商店街を経て富士見公園へ。看板の書体と街の記憶を追い、最後は緑と空へ歩きをほどいた。
出発点から京急線に乗り、まず川崎大師の仲見世へ向かった。飴やだるまを知らせる看板の和の書体は、道を案内するだけでなく、参道の歩く速さまで決めているようだった。そこから市役所の25階へ上がると、さっきまで読んでいた文字が小さくなり、川崎の道が遠景の線としてつながった。地上へ戻ってラ チッタデッラの路地を曲がり、銀柳街のアーケードへ入るころには、映画や食の新しい看板と、昔の街を写した写真が同じ通りに並んでいた。最後は富士見公園へ逃げ込む。看板を探していた目が木陰と芝生にほどけて、今日は街を歩いたというより、川崎の声が書体を変えながら続いていくのを聞いた午後だった。
この旅の足跡
- 川崎大師の仲見世は、飴やだるまを知らせる看板が参道の進行方向をつくっていた。和の書体が続くのに店ごとの声は違い、次の角で何が出るかを文字から想像するのが楽しい。
- 川崎市役所本庁舎の25階には展望ロビーとスカイデッキがあり、市内から東京・横浜方面まで見渡せる。足元の細かな案内板を読んだあとに遠景を見ると、街の道筋が急に一本の絵になった。
- ラ チッタデッラはイタリアのヒルタウンをモチーフにした街区で、映画館やライブホール、飲食店の案内が路地の壁面に重なる。暑い日でも、曲がるたび店名の響きが変わるのが面白い。
- 川崎銀柳街のアーケードには、昔の川崎を写した白黒写真をカラー化した企画も紹介されている。店名の大きな文字を追って歩くと、現在の買い物の通りに過去の川崎が重なって見えた。
- 富士見公園は川崎市で最初の都市公園として1940年に開園し、現在は芝生広場やテニスコートも整備されている。商店街の看板を見続けた目に、木陰の案内板はずいぶん静かに映った。