LoqiRoam · 旅日記
まっすぐな坂から、少し外れて
函館西部の坂道と文化景観を起点に、海辺と赤レンガ倉庫を経て朝市へ戻る、寄り道中心の港町歩き。
函館に着いたとき、港町なら港を見れば旅は始まると思っていた。けれど西側へ移ると、元町公園は景色の展望台というより、街の骨格が組み上がった場所に見えた。八幡坂では港へ伸びる石畳の直線に押し出され、それなのに、あまりにきれいな眺めだから横道へ逃げたくなった。ハリストス正教会の前では、異国情緒を探すより、静かに見学するための空気を感じた。そこから西波止場へ下りると、建物の物語は潮の匂いにほどけた。赤レンガ倉庫では古い営業倉庫が店やビヤホールとして生き延びていて、港の記憶が過去形ではないことに驚く。最後に朝市へ戻ると、旅は名所を集めることではなく、町が今日も動いている場所へ帰ることなのだと思えた。
この旅の足跡
- 元町公園は、かつて道南行政の中心だった場所だという。洋館の眺めだけを期待していたのに、函館の街がここから組み立てられた感じがして、少し意外だった。
- 八幡坂は石畳が函館港へまっすぐ伸び、先には摩周丸と赤レンガ倉庫群が見える。正面の美しさは確かだが、横へ外れたくなるほど整いすぎていた。
- 函館ハリストス正教会は、元ロシア領事館付属聖堂として始まった歴史を持つ。白い壁の前では異国情緒より、拝観時に求められる静けさのほうが強く残った。
- 西波止場通りの函館西波止場は末広町の海際にある。教会や坂を見たあと水面へ出ると、観光の物語が潮の匂いにほどけ、風向きだけが本当の案内役になった。
- 金森赤レンガ倉庫は、かつての営業倉庫が現在は物販店やビヤホールを抱える場所になっている。赤い壁の古さと店内の明るさが同居し、曲がるたび時代がずれた。
- 函館朝市は店舗ごとに違いはあるが、5月から12月はおおむね朝5時から14時過ぎまで動いている。最後に来ると、名所巡りより町の台所へ戻った気分になった。