LoqiRoam · 旅日記
影の長さに導かれて
公園、川、社叢、宿場町、古民家、水辺をつなぎ、影が形を変えていく一日を歩いた。
北春日部を出たとき、旅は駅の周囲で終わるほど小さいものだと思っていた。けれど内牧公園の木立に入ると、街の近くにも光を受け止める深い場所がある。大落古利根川では、影は地面に留まらず、水面の揺れにほどけた。そこから久伊豆神社の参道へ進むと、樹木と社の静けさが時間の厚みをつくっていた。越谷宿では、公開されていない古い商家と、今も人を迎える古民家施設が隣り合い、残すことと使うことの違いが見えた。最後に大相模調節池へ着くと、細い路地の影は広い空の下で一度消え、夕方の水辺に別の形で戻ってきた。名所を集めたというより、明るさが次の明るさへ移る瞬間を拾った旅だった。
この旅の足跡
- 北春日部から少し離れた内牧公園は、豊かな緑とフィールドアスレチックを抱えている。遊具の影が思ったより深く、駅の近くにこんな静けさがあることに驚いた。
- 大落古利根川には堤防と遊歩道が続き、川面の反射が歩く位置ごとに変わる。水のそばなのに街の音も消えず、影は静けさではなく流れとして見えてきた。
- 久伊豆神社の長い参道と社叢は、境内に入る前から光を細くする。樹齢二百年余りとされる藤や神池の気配を前にすると、影にも記憶が宿るのかと考えた。
- 越谷宿には旧日光街道沿いに商家や蔵が残り、木下半助商店の建物もその一つだが、現在は廃業し非公開と確認できた。見られない内部を想像するほど、壁の影が長く感じられた。
- はかり屋は明治38年から町を見つめてきた旧大野邸を改修した古民家複合施設。蔵と新しい店の境目に立つと、保存は過去を止めることではないのだと、柔らかな店内の明暗から感じた。
- 大相模調節池は洪水調節のための水辺だが、北池の周囲には一周5.7kmのレイクサイドウォークがある。夕方の広い水面では、都市の輪郭まで薄い影になっていった。