LoqiRoam · 旅日記
石の輪から、灯りの輪へ
深川の記憶、食、縄文の石、平野の眺望、夕暮れの峠、足元の植物をつないだ小旅行。
深川では、最初から遠くへ行く必要はなかった。資料館の薄暗い展示室で土地の時間に触れ、米をテーマにした道の駅で窓から差す光を眺めた。そこから音江の丘へ向かうと、石は円を描いているだけなのに、その下に眠る墓や副葬品の話が、景色の奥行きを変えていった。国見峠では視界が一気にひらけ、石狩川と平野の境目が大きな影絵になる。さらに戸外炉峠へ進むころ、昼の輪郭は少しずつ灯りにほどけた。最後は丸山公園へ戻り、遠くの眺望ではなく足元の小さな影を見た。旅の終わりに残ったのは、名所の数ではなく、光が場所ごとに違う記憶をつくるという感覚だった。
この旅の足跡
- 資料館の無料展示には深川の歴史資料だけでなく、季節の移ろいを映すマルチスライドシアターもある。外の雪明かりとは違う、記憶の中の光を見たくなった。
- 大きな窓から陽射しが入り、米をテーマにした店内には釜飯やおにぎりの気配が重なる。休憩のはずが、土地の味にも影の濃淡があると気づいた。
- 丘の上に大小の石が円を描き、地下には墓穴があったという。見た目は静かな石の輪なのに、朱漆の弓やヒスイの玉の話が、足元の暗がりを急に深くした。
- 標高154メートルの展望台から、石狩川沿いの深川と平野がひらける。さっきまで石の輪を見ていた目には、田畑の境目まで巨大な影絵のように見えた。
- 道沿いの小さな駐車公園なのに、夕暮れには深川の街が星座のように灯るという。昼の展望とは別の、薄明かりが輪郭をつくる場所として残った。
- 最後に街へ戻ると、丸山公園は道中の遠景とは違う近い緑の場所になる。道内有数のカタクリ群生地という話を思い出し、足元の小さな影を見落とさずに歩いた。