LoqiRoam · 旅日記

大聖寺、まっすぐ行かない午後

工芸、再生された市場、寺町、庭園、城跡を曲がり角でつなぎ、最後に日常の喫茶店へ戻った。

大聖寺では、最初の曲がり角を決めるまでがいちばん長かった。九谷焼を眺めながら茶を飲み、そこから魚町へ向かうと、古い魚市場がカフェと漆芸工房に姿を変えていた。過去は保存されているだけではなく、誰かの手元でまだ更新されているらしい。山ノ下寺院群では門が次の門を呼び、道が少し迷路になる。江沼神社の庭園で水面に足を止めたあと、錦城山へ登ると、平地で選んだ細道まで城下町の輪郭として浮かび上がった。帰りに駅近くの喫茶店へ戻る。出発点は同じなのに、見える角度だけが変わっていた。

この旅の足跡

  1. 九谷焼美術館の二階で、茶房古九谷は器そのものを眺めながら茶を飲める。展示を見る前より、湯気の向こうの青が少し近く感じた。
  2. 大聖寺魚町のFUZONは、築八十年ほどの魚市場をカフェと漆芸工房に変えた場所。古材の長い小上がりから工房を眺めると、町の過去がまだ作業中に見える。
  3. 山ノ下寺院群は加賀藩の城下町が意図的に寺社を集めた一帯で、細い道の先に寺の門が何度も現れる。迷ったふりをしたら、本当に次の角が楽しみになった。
  4. 江沼神社の庭園は、県内では兼六園以外に貴重な大名庭園とされる池泉回遊式。町なかで急に水面が現れ、歩く速度まで藩主の気分に変わった。
  5. 大聖寺城址の錦城山は標高約63メートルの里山だが、三方の斜面が急な要害だった。登ると、さっきまでの町の曲がり角が一枚の縄張り図に見えてくる。
  6. koffeは大聖寺駅から徒歩約5分、東町の一角で10時から20時まで営業する喫茶店。旅の終わりに戻ってみると、最初の大通りも少しだけ路地に見えた。
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