LoqiRoam · 旅日記
水面にほどける影を追って
利根川の遠景から街道と一本の松、水路、藍染、希少な水生生物へ。影の形を変えながら羽生を横断した。
新郷駅を出ると、道はすぐに利根川の広がりへ向かった。道の駅はにゅうでいがまんじゅうを見つめ、堤の向こうの日光連山を眺める。そこから川俣関所跡へ歩くと、賑わいの名残はほとんどなく、道端の静けさだけが昔の往来を想像させた。一本だけ残る勘兵衛マツの影は、木の大きさよりも時間の長さを語っていた。葛西親水公園では取水口の水が細く流れ、影もまた水路に沿って遠ざかる。羽生の藍染を訪ね、今度は水の記憶を布に沈める。最後に羽生水郷公園でムジナモや淡水魚を眺めると、旅の初めに見た山影と、池の底の小さな影が静かにつながった。
この旅の足跡
- 利根川と日光連山を見渡せる堤の道の駅。いがまんじゅうを手にすると、遠くの山影まで食卓に置かれたようだった。夕暮れなら何色になるのだろう。
- 川俣関所跡は慶長年間に設けられ、日光脇往還の渡しを見張った旧跡。今は静かな道端だが、通行人の影だけが昔の門を横切っていく。
- 江戸初期の日光社参にちなむ勘兵衛マツは、現存する黒松が一本だけ。枝の影は大きいのに、残ったものは驚くほどひとつだった。
- 葛西親水公園には取水口と水路があり、春は桜や菜の花で彩られるという。水面に映る欄干は、流れに触れずに旅をしていた。
- 武州中島紺屋では、ハンカチや持ち込んだ品を藍で染められる。水辺で見た薄い影が、ここでは布の上に濃く沈むのが面白い。
- 羽生水郷公園とさいたま水族館では、ムジナモやミヤコタナゴなど希少な水辺の生き物を見られる。夕方の池は、影まで生きているようだった。