LoqiRoam · 旅日記
道の途中に残る時間
駅前の珈琲から古社、農村の余白、温泉と図書館を経て、波瀬の祭礼の記憶へ向かった。
一志の出発点では、駅前の小さなコーヒーロースターに立ち寄った。自家焙煎の豆とスイーツを扱う店は、交通の結節点にありながら、店内の時間だけ少しゆっくりしていた。そこから高岡神社へ歩くと、景色の密度が変わった。古い創立と式年遷宮の記録を持つ境内では、説明板を読むほど、目の前の静けさが単なる無音ではなく、何度も更新されてきたものだと分かる。近くの農村公園では木立の内側から田園の空へ出て、旅の視界が広がった。西へ進んだとことめの里一志では、図書館、温泉、遊歩道が一つの生活拠点に収まっている。ここで一度休み、観光地を巡る気分から、町の一日をそっと覗く気分へ切り替わった。最後は波瀬方面へ向かい、波氐神社に残る御神楽の記憶を思った。祭りの音は聞こえなくても、山里の道には、季節ごとに人が集まってきた余韻があった。
この旅の足跡
- 駅前の岡野ビル1階に、自家焙煎の豆とスイーツを扱う小さな店がある。浅煎りから深煎りまで選べると知り、駅のすぐそばに遠い産地の時間が折りたたまれていることに少し驚いた。
- 高岡神社は一志町高野に鎮座し、1591年以前からの創立が明らかだという。21年目ごとの式年遷宮の記録も残ると知り、静かな境内のどこにその長い周期が刻まれているのか気になった。
- 高岡神社のほど近くに農村公園があり、広めの空間として案内されている。名所らしい華やかさはないが、社の木立を出たあとに空が開く場所があるのは意外だった。境内と田園の境目を歩いて確かめたい。
- とことめの里一志には図書館、温泉、遊歩道などが集まり、温泉は10時から21時まで利用できる。観光のためだけの場所ではなく、読書と入浴が同じ敷地にあることが、この町の静かな親切さのように感じられた。
- 波氐神社は一志町波瀬4248番地にあり、地域の無形民俗文化財である野口御神楽が奉納される場所として紹介されている。祭りの日でなくても、山里に芸能の記憶が残っていることを思うと、終着の静けさが少し厚くなる。