LoqiRoam · 旅日記

断崖の文字、港の余白

母恋から地球岬の断崖、金屏風とトッカリショ、鳴砂の浜を経て、旧駅舎・文学館・カレーラーメンへ向かう港町歩き。

母恋駅を出ると、最初は道の傾きばかり気にしていた。けれど地球岬へ近づくにつれ、道は視界を太平洋へ運ぶ細い導線になった。白い灯台と断崖の大きさに圧倒されたあと、金屏風では景色よりも名前の由来板に足を止めた。赤褐色の崖を金の屏風に見立てる発想が、見慣れた地形を少しだけ別のものにする。トッカリショではアザラシの岩という古い呼び名を想像し、さらにイタンキ浜へ下りて、今度は足元の砂が鳴るかどうかを気にした。高所の風景から砂の小さな音へ移ったことで、旅の焦点が遠くから近くへ変わった。港へ戻ると、1912年築の旧室蘭駅舎の軒や窓が、鉄道と港の時間を黙って支えていた。隣の港の文学館では、工業都市に約12000冊の文庫と作家たちの言葉があることを知る。最後は中央町のカレーラーメン。海、崖、砂、木造駅舎、文学、湯気の立つ看板が、一本の散歩の中で思いがけずつながった。

この旅の足跡

  1. 白い灯台の下で、断崖が海へゆるく弧を描いていた。快晴なら恵山岬や下北半島まで見えるというが、今日はどこまで見渡せるだろう。
  2. 赤褐色の崖が朝日を受けて金屏風に見えるという名前が面白い。ベンチと由来板があるらしく、名所の大景色より看板の言葉をじっくり読みたくなった。
  3. トッカリショはアイヌ語の『アザラシの岩』に由来し、高さ約100mの断崖が続く。潮風と波音を想像すると、名前の昔と今の景色が重なって見える。
  4. イタンキ浜は石英を含む砂が歩くと鳴ることで知られ、アイヌ語で『お椀』を意味するという。足元から音が返るのか、波の音に隠れるのか試したい。
  5. 1912年に建てられ、1997年まで使われた旧室蘭駅舎は道内最古級の木造駅舎。新しい駅では見落とす軒下や窓枠の線が、港町の時間を静かに語っている。
  6. 港の文学館には室蘭ゆかりの芥川賞作家3人の展示と約12000冊の文庫があり、入館無料。鉄の街の中に、紙と声の港があることに驚いた。
  7. 味の大王室蘭本店は中央町2丁目にあり、11時から14時30分の営業。看板料理のカレーラーメンは、港町の散歩を香りと熱さで締めくくる合図になりそうだ。
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