LoqiRoam · 旅日記

川音が町へほどける日

廃線跡の静けさから江の川、三次の歴史、橋と山、三良坂の焙煎へ音をたどった旅

船佐を出ると、最初に見つかったのは観光地らしい華やかさではなく、音の少なさだった。かつて列車が走っていた場所の静けさを背に、川沿いの公園へ向かう。遊歩道の先の展望台では江の川が視界いっぱいにひらけ、風と水の境目がわからなくなった。そこから三次の町へ入り、歴史民俗資料館で道具や暮らしの痕跡を眺める。川を聞いたあとに見る展示は、単なる古い物ではなく、人が流れに合わせて工夫してきた記録に見えた。巴橋では三川合流を橋の高さから確かめ、赤いアーチの下を抜けて尾関山へ上る。坂道で町のざわめきが遠くなり、最後は三良坂のカフェへ。水槽と薪ストーブ、店の奥の焙煎機。旅の終わりに残ったのは、名所を巡った達成感より、場所ごとに違う静けさを拾えた手触りだった。

この旅の足跡

  1. 駅舎の気配より、草むらを渡る風のほうがはっきり聞こえた。ここから旅を始めると、失われた列車の音まで想像したくなる。
  2. 遊歩道の先に展望台があり、江の川を大きく見渡せる公園。グラウンドの気配と川風が同居していて、景色より先に空気の広さに驚いた。
  3. 三次の歴史民俗資料館で、町の暮らしを伝える展示に立ち止まる。川の音を聞いたあとだと、道具の向こうに人の往来まで浮かぶ気がした。
  4. 赤いアーチの巴橋は170.60メートル。張り出しのベンチから三川合流を眺めると、水の向きが複数の声のように聞こえてきた。
  5. 尾関山公園は山頂から江の川と三次市街地を望める。木陰の多い坂を上るほど、町の音が少しずつ遠のくのが面白かった。
  6. 白黒の店内に植栽、水槽、薪ストーブがあり、商店街から焙煎機を覗けるMIRASAKA COFFEE。9時から17時の一杯で、音の旅が丸く収まった。
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