LoqiRoam · 旅日記

川風から森の奥へ

宮川から勢田川、資料館、森の別宮、神社を経て、五十鈴川の宇治橋へ至る旅。

山田上口を出て、まず宮川堤へ向かった。約一キロ続く桜並木の場所として知られるが、花のない時期を想像しても、堤と川幅の大きさだけで町の輪郭がゆっくりほどけていく。そこから勢田川の河崎へ移ると、黒板塀の蔵と妻入りの町家が現れた。水が景色をつくるだけでなく、商いと参宮の記憶まで運んでいたことに気づく。神宮徴古館では祭典や建築の資料を見て、にぎやかな参道へ急ぐ気持ちをいったん置いた。倭姫宮の木立では、展示の言葉が葉擦れの音に変わり、道の速度が落ちた。猿田彦神社の方位石と佐瑠女神社を経て、最後は宇治橋へ。五十鈴川を渡る101.8メートルの橋の上で、出発時の宮川と同じ水の気配が、今度は森の入口として戻ってきた。名所を集めたというより、川、商家、記録、木立、道、橋の順に、静けさの形が変わる一日だった。

この旅の足跡

  1. 駅から少し歩くと、宮川堤は約1キロの桜並木として続いていた。花の季節でなくても、川幅の大きさと堤の長さが町の静けさを思ったより深くしている。
  2. 勢田川沿いに黒板塀の蔵や切妻・妻入りの町家が残る。観光地の表面より、荷を運んだ川と商家の裏側に町の呼吸が見える気がして、足音まで古く聞こえた。
  3. 神宮徴古館では祭典や建築、伊勢の歴史を扱い、入館は9時から16時までと案内されている。華やかな参道へ急がず、まず資料の静けさに耳を澄ませたくなった。
  4. 倭姫宮は楠部町にあり、案内図では別宮として森の中に置かれている。建物を見に行くというより、木々の間で道の速度が落ちる変化を確かめる場所だった。
  5. 猿田彦神社には八角形の方位石があり、境内社の佐瑠女神社には技芸や鎮魂に関わる神が祀られる。道を導く場所なのに、立ち止まるための細部が多いのが印象に残った。
  6. 宇治橋は全長101.8メートルの檜の反り橋で、五十鈴川を渡って内宮へ入る。人の流れがあっても、橋の中央では川と森の境目が一瞬だけ無音になった。
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