LoqiRoam · 旅日記

山あいで静けさの輪郭をたどる

駅舎の記憶から山の眺望、鉄道、渓谷、滝へと静けさの変化をたどった。

上総大久保では、線路のそばにある小さな駅舎から歩き始めた。壁に残る子どもたちの絵を知ると、静けさは何もないことではなく、誰かの時間が薄く重なっている状態に思えた。山道へ入り、大福山でいったん遠くまで視界を広げる。けれど、眺望の大きさよりも、木々の間を抜ける風の方が長く残った。養老渓谷駅まで移ると、鉄道がこの深い場所と外の町をつないでいることを実感する。そこから中瀬遊歩道へ下り、湿った足元と川音に歩調を合わせた。最後の粟又の滝では、長い岩肌を水が細かく分かれて流れていた。出発地の静けさは消えず、最後には水の音の中へ形を変えていた。

この旅の足跡

  1. 駅舎の内側に旧白鳥小学校の生徒の絵が残ると知り、無人の待合室にも土地の声があるように感じた。線路の先が森へ消えるのが印象的だった。
  2. 大福山展望台は山頂から少し離れた場所にあり、南へ房総の山々を見渡せる。登りの息が収まると、遠景より木々の間の風の方が強く残った。
  3. 養老渓谷駅では、渓谷へ向かう人のための鉄道が山の中に静かに置かれている。駅に戻れる安心と、ここから歩き出す心細さが同居していた。
  4. 中瀬遊歩道では、川幅よりも岩壁と水面の距離が気になった。遊歩道の名は穏やかでも、足元の湿り気が景色を近くし、歩く速度を自然に落とした。
  5. 粟又の滝は約100メートルにわたり、滑り台のような岩肌を水がゆるやかに流れ落ちる。大きな滝なのに、轟音より水の細かな分岐が目に残った。
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