LoqiRoam · 旅日記
駅を降りても、まだ曲がり角
峠駅から米沢へ下り、駅弁、酒蔵、城下町、笹野の手仕事、小野川温泉をつないだ寄り道の旅。
峠駅では、山の斜面に貼りつくようなホームで、列車を待つ時間そのものが旅になった。力餅の気配を背負って米沢へ降りると、駅弁の牛肉と米が急に現実的な旅の燃料になる。そこから大町の酒蔵へ向かう道では、観光地らしい看板より、古い通りの幅や建物の影に惹かれた。東光の酒蔵で道具の並ぶ暗がりを見たあと、上杉神社の堀へ歩くと、歴史が展示物ではなく水面の向こうにあるように感じられた。予定なら中心部で終わるところを、最後に笹野へ曲がった。木を一刀で削る手仕事と観音堂の句碑に出会い、旅は人の手の速さまで遅くなった。締めくくりは小野川温泉。山へ戻らず、湯けむりの中で今日選ばなかった道のことを少し考えた。
この旅の足跡
- 峠駅のすぐそばに茶屋が残り、力餅を売るという。山中のホームで列車を待ちながら、餅は旅の合図にも見えた。静けさが濃い。
- 米沢駅では、山形県産米「どまんなか」に牛肉とそぼろを重ねた駅弁が知られている。名前は直球なのに、列車を降りた瞬間の安心感はかなり深い。
- 東光の酒蔵は1597年創業の酒蔵に連なる資料館で、昔の酒造道具が並ぶ。木の暗がりに入ると、城下町の時間が急に発酵し始めた気がする。
- 上杉神社は季節で開門時刻が変わるが、17時には社殿前へ進めなくなる。堀の水面を見ていると、立派な歴史より先に、町の呼吸が気になった。
- 笹野観音堂には俳句の懸額が納められ、近くではサルキリ一本で木を削る笹野一刀彫が続く。名所の写真より、削りくずの行方を見たくなった。
- 小野川温泉は市内から車で約15分、約1200年前の開湯伝説を持つ。日帰り入浴もできると知り、旅の終点を景色ではなく、熱と水に任せることにした。