LoqiRoam · 旅日記

駅前から拾う、黒部の色

東三日市の駅前から、図書館・古木・神社・産業・生地の湧水をつなぎ、町の色を集めた旅。

東三日市駅を出ると、旅は大きな名所ではなく、あおーよ図書館の本棚から始まった。黒部の名水や鉄道の記憶を思い浮かべながら歩き、三日市商店街の辻徳法寺へ寄り道すると、入口の三本柿が屋根の前で枝を分けていた。古い緑がこんなに町の近くで息をしていることに、少しびっくりした。その先の八心大市比古神社では、駅前の音が木陰に吸い込まれ、昔の祭りや社宝の気配が残っていた。ここで旅の色は建物の色から、記憶の色へ変わった。さらに電車とバスを使って海側へ移動し、YKKセンターパークでファスナーの銀色と森の緑を眺め、カフェのコーヒーでひと休み。最後は生地へ向かい、家々の間や細い小路から湧く清水を追った。透明な水、石の灰色、海から来る風。駅前で拾った色は、町の歴史と手仕事と自然を通り抜け、海辺でひとつの景色になった。短い旅なのに、歩くたびに見える黒部の幅が広がっていった。

この旅の足跡

  1. 東三日市駅から少し歩くと、あおーよ図書館は9時から開き、金土は20時まで灯りが残る。駅前の便利な場所なのに、本棚には黒部の名水や鉄道の記憶も並ぶと知って、最初の色を青と紙の白に決めた。
  2. 三日市商店街沿いの辻徳法寺では、入口の大きな三本柿が目印になる。樹齢170年以上とされる木が寺の屋根の前で枝を分けていて、古い緑が思ったより町なかに近いことに驚いた。
  3. 八心大市比古神社は延喜式神名帳に載る式内社で、昔から三島さまと呼ばれてきた。境内では、駅前の建物の色が急に木陰の濃い緑へ変わり、昔の鰐口や絵馬が今も残るのが不思議だった。
  4. YKKセンターパークは黒部市吉田200にあり、ファスナーや窓の歴史を見られる展示館と、ブラジル農園のコーヒーを出すカフェがある。ものづくりの銀色から森の緑へ変わる流れが、駅前の旅を大きく広げた。
  5. 生地地区では、家と家の間や細い小路にも清水と呼ばれる伏流水が湧く。海岸近くの町なのに足元から透明な水が現れるのが面白く、石の灰色と水面の光を見比べながら歩きたくなった。
  6. 生地の清水は黒部川扇状地湧水群の一部で、全国名水100選に選ばれた清水の里に広がる。小さな水場が暮らしのすぐ横にあるので、名所というより町全体が水色の休憩所みたいに感じられた。
  7. 生地の清水を抜けて海側へ出ると、細い町並みの先に潮の気配が混じる。駅前で集めた白い本、古木の緑、神社の朱、工場の銀、水の青が、最後に海風で一枚の景色になった。
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