LoqiRoam · 旅日記
高田で拾った三つの余白
蓮の一瞬、雪国の記憶、雁木の知恵を、高田城址公園から寺町まで歩いて集めた。
出発したときは、蓮を見て、町を歩いて帰るくらいの気持ちだった。けれど高田城址公園では、外堀いっぱいに広がる紅白の蓮と、朝の数時間だけ花が開くという時間の短さに足を止めた。すぐ隣の歴史博物館では、城下町の記憶に日本スキー発祥の資料まで重なり、夏の景色の奥に雪の暮らしが見えてきた。美術館の庭でいったん歩みをゆるめ、町家交流館では吹き抜けと土蔵を覗いた。最後に本町の雁木を歩くと、雪を避けるための庇が、暑い日の歩行者にもやさしい影をつくっている。にぎわいを抜けて寺町の浄興寺へ着くころには、旅の三つの発見は、蓮の一瞬、雪国の知恵、時間を受け止める建物になっていた。短い散歩のつもりが、町の季節を何度も往復したような一日だった。
この旅の足跡
- 外堀のほとんどを蓮が埋める高田城址公園。紅白が混じる広さに圧倒されたのに、花は朝だけ開くと知って急に儚く見えた。今日は何輪が間に合うだろう。
- 公園の中に城下町の資料を集めた歴史博物館がある。日本スキー発祥の資料まで並ぶらしく、雪の町の話が夏の蓮池から続いているのが面白い。
- 小林古径の作品だけでなく、移築された邸宅と画室、草花の庭まで見られる美術館。雪国の美を真夏に見るという逆転が、少し涼しい気分を運んでくれそうだ。
- 明治の町家を再生した高田小町は、吹き抜けと土蔵を無料で見学できる休憩所。立派さより、家の真ん中が空へ抜ける構造に暮らしの工夫を感じた。
- 高田本町には雁木が連なり、商店街には夏の涼み処も用意されている。雪のための庇が真夏の避暑地になるとは、町の道具は季節を越える。
- 寺町の浄興寺本堂は江戸中期の大きな真宗建築で、重要文化財に指定されている。境内へ近づくほど街の音が薄れ、最後に時間の深さだけが残った。