LoqiRoam · 旅日記

伊那谷で、最短ではない線を選ぶ

春日公園の眺望から伊那の商店街と食、高遠の裏道を経て、農と山の景色へ抜ける旅。

田畑を出て、最初に春日公園の高台へ上がった。伊那谷と山の位置を見てから歩き始めると、駅前へ下る道にも地形の癖が見えてくる。通り町では昭和の看板建築を見上げ、足を止めた。そのまま老舗でローメンを食べると、麺の固さとにんにくの香りが、さっきまでの静かな景色を急に生活の側へ引き戻した。午後はバスで高遠へ。表通りを少し外れ、鉾持神社の手前で曲がる。格子戸、低い軒、細い道。城下町は観光用の一枚絵ではなく、曲がるたびに厚みが変わる場所だった。最後にローズガーデンで山を眺め、みはらしファームへ戻る。路地の旅だったはずなのに、終わるころには谷全体を見渡していた。道は細く選び、景色は広く終える。今日はそのくらいの気まぐれがちょうどよかった。

この旅の足跡

  1. 本丸橋を渡ると、木々の向こうに伊那谷が急にひらけた。城跡なのに遊具と広場が隣り合い、古さと日常が同じ斜面にいるのが面白い。
  2. 通り町では店の二階を見上げたくなる。昭和の看板建築がアーケードの上に残り、買い物の道なのに小さな映画の背景みたいで、歩く速度が落ちた。
  3. 伊那のローメンは焼きそばともスープ麺とも言い切れない。にんにくの香りと蒸し麺の固さに驚き、土地の名物は説明より一口が早いと思った。
  4. 高遠は一直線の町ではなかった。新町通りから鉾持神社の手前で左へ折れると、格子戸や低い二階屋が残る細道に入り、城下町の時間が少しずれる。
  5. 斜面の庭では、約270種・3000株のバラの向こうに中央アルプスが見える。花を見に来たのに、私は山の線ばかり追っていた。営業期間を選ぶ寄り道だ。
  6. みはらしファームは、収穫体験や木工、草木染めまで農の入口がいくつもある。展望台の広さに立つと、今日の細い路地が谷全体の一部に戻っていく。
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