LoqiRoam · 旅日記
水路の町から、丘陵の古墳へ
商店街、水路、寺、展示、展望、古墳、公園をつないで、町の現在と古代の痕跡を歩いた。
寝屋川市を出て最初に入ったベル大利では、約80店の商店が並ぶ通りの気配に足がゆるんだ。旅の入口が名物ではなく、今日も誰かが買い物をする場所なのがよかった。そこから友呂岐緑地へ移ると、統廃合された水路の跡が3.5kmの緑地になっていて、細い橋や藤棚が町の隙間をやさしく縫っていた。成田山不動尊では、交通安全を願う大きな祈りの場が思いのほか静かで、歩く速度まで変わった。午後は丘陵へ。駅前の小さな資料館で土器や貯蔵穴を見てから坂を上ると、打上神社の森と遠い山並みが現れた。最後の石宝殿古墳では、花崗岩をくりぬいた石室と、まだわからない被葬者のことを考えた。寝屋川公園の花壇と芝生に戻ったとき、古代は遠い昔ではなく、木漏れ日の中に置かれた風景なのだと感じた。
この旅の足跡
- ベル大利は約80店が並ぶ商店街で、食料品から日用品まで一つの通りに揃う。店先の生活感が思った以上に濃く、観光地より町の台所を覗いた気分になった。
- 友呂岐緑地は水路の統廃合で生まれた全長約3.5kmの緑地帯。水辺の細い橋と藤棚のベンチが続き、人工の水路なのに鳥の声が先に聞こえてきた。
- 成田山不動尊は関西唯一の成田山新勝寺別院で、香里園駅から徒歩15分ほど。交通安全の祈りの場所なのに、境内へ入ると車の音がすっと遠のくのが不思議だった。
- 寝屋川市立埋蔵文化財資料館は寝屋川公園駅前の集合住宅内にあり、土器や石器、弥生時代の貯蔵穴などを展示する。古代が立派な建物ではなく、駅前の日常に収まっている。
- 打上神社は市内でも高い海抜約100mにあり、シイの自然林と吉野池を抱える。西側の高台から大阪や六甲山脈まで望めると知り、坂道の先に地図が開く感じを期待した。
- 石宝殿古墳は巨大な花崗岩をくりぬいた石室をもつ国指定史跡で、被葬者は今も不明。入口の形があまりに実用的で、誰かの秘密の部屋のように見えた。
- 寝屋川公園の中央広場には約100種類の宿根草が咲き、園内には直径約22mの寝屋古墳もある。古墳を見たあと芝生へ戻ると、過去が風景の一部に静かに溶けていた。