LoqiRoam · 旅日記
水の記憶から、海の影へ
八十場の湧水を起点に、白峯寺、商店街、旧校舎、瀬戸大橋記念公園へ移り、土地の記憶が海の眺望へほどける旅。
八十場を出ると、まず冷たい水を探した。金山の麓から湧く水には、日照りでも枯れないという伝説があり、静かな水面の向こうに古い街道の時間が透けて見えた。そこから白峯寺へ向かうと、堂宇と白峯陵のあいだに石段の影が重なり、歩くことが距離ではなく記憶をたどる行為に変わっていった。山を下りてサンロード港町商店街に入ると、昭和の屋根や古い通りの形が残りながら、町はまだ暮らしの途中にあった。大正時代の校舎を使う郷土資料館では、窓辺の光が木の床に細く伸び、建物そのものが過去を保存しているように感じた。最後は瀬戸大橋記念公園へ。海と橋の影を芝生の上で眺め、タワーの高みから島々を見下ろすと、今日歩いた道もひとつの細い影になって遠くへ続いていた。
この旅の足跡
- 八十場の湧水は金山の麓から冷たく湧き、日照りでも枯れない霊泉と伝わる。水面の影を見ていると、八十八人が蘇ったという伝説まで近く感じられた。
- 白峯寺では国指定文化財の堂宇が境内に並び、隣には白峯陵がある。石段の影が幾重にも重なり、巡礼は距離よりも時間を歩くものだと思った。
- サンロード港町商店街は昭和の風情を残すアーケードで、古い屋根や落下防止ネットさえ町の表情になっている。静かな通りなのに、暮らしの気配は消えていなかった。
- 大正時代の旧坂出商業学校の校舎が、現在は郷土資料館として使われている。木造の窓辺に落ちる影を見て、建物そのものが町の記憶装置に見えた。
- 瀬戸大橋記念公園は橋の四国側の起点にあり、多島美と橋の大パノラマを一望できる。芝生に伸びる構造物の影が、海の広さを測っていた。
- 瀬戸大橋タワーは記念公園の中で海と橋を見下ろす展望施設として営業している。ゆっくり回る高さから眺めると、島の影が地図ではなく呼吸のように動いた。