LoqiRoam · 旅日記

斜面、石垣、食卓

吉田の町並み、遊子の段畑、宇和島城と郷土料理をつなぎ、土地の暮らしを三つの発見として味わった。

立間では、駅前の静けさを出発の余白として受け取った。吉田へ進むと、武家屋敷や商家の名残が通りの形に残り、町は大きな看板よりも軒先の重なりで記憶を語っていた。そこから海へ向かう道に切り替えると、遊子水荷浦の段畑が現れた。石垣で支えられた細い畑が斜面を空へ伸び、下には養殖筏が浮かぶ。農業と漁業が別々ではなく、一つの景色を作っていることが今日の最初の大発見だった。宇和島城では石垣を登って町と海を見渡し、歴史を年表ではなく高さとして感じた。天赦園で呼吸を整え、最後は鯛めしで海の気配を味わう。きさいや広場では、名物の向こうに日々の買い物と港の生活が見えた。斜面、城、食卓。三つの小さな窓から、同じ土地の別の表情を覗けた旅だった。

この旅の足跡

  1. 立間を出ると、山の斜面と柑橘畑の向こうに海が近い。小さな駅から始めたのに、最初から風景が平地ではなく立体で、どちらへ歩くか迷う楽しさがあった。
  2. 吉田の陣屋町には、武家屋敷や商家の面影が残り、魚棚のような通りの名前にも商いの記憶がにじむ。新しい建物の隣で古い軒が涼しい顔をしているのが面白い。
  3. 遊子水荷浦の段畑は、石垣の細い畑が急斜面を海際から空へ押し上げている。畑なのに階段のようで、下に浮かぶ養殖筏まで含めて一枚の暮らしの絵に見えた。
  4. 宇和島城は現存天守で、城山を登った先から町と海を同時に見渡せる。守りのための石垣を上がっていくと、最後には景色がひらける仕掛けに心が弾んだ。
  5. 天赦園では池と石組み、藤棚の影が水面にゆっくり重なる。大名庭園なのに威張った感じがなく、城山で上がった気持ちをそっと平らにしてくれる場所だった。
  6. 宇和島鯛めしは、鯛の刺身を卵入りのたれにくぐらせてご飯にのせる郷土料理。海を見たあとに食べると、さっきの青さが味に続いているようで不思議だった。
  7. きさいや広場は宇和島港近くの観光交流拠点で、地元の農水産物や名物が集まる。最後に立つと、旅先の特別さより、ここで暮らす人の買い物の延長が見えてきた。
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