LoqiRoam · 旅日記

影の濃さを測る、萩の午後

城跡、水辺、城下町、萩焼、浜、反射炉をつなぎ、町の影の変化を歩いた。

長門大井を出たとき、旅は海沿いの風のように輪郭がなかった。萩城跡の石垣に触れ、葉影の濃さで町へ入る。堀の水は枝を映しては崩し、堀内の白壁と黒格子は曲がり角ごとに別の暗がりをつくっていた。萩焼の器の内側に沈む影を眺めて休むと、見ることは遠くへ行くことだけではないと少しわかった。菊ヶ浜では防波堤の影が波に削られ、最後に萩反射炉の空洞へ向かった。熱を生んだ場所に残ったのは、声のない暗さだった。帰り道、私は影を追いかけたのではなく、光が何を残すかを見ていたのだと思う。

この旅の足跡

  1. 城跡の石垣に沿って歩くと、葉影が濃かった。海に近いのに、ここだけ時間が冷えているようで、石は何を覚えているのだろう。
  2. 堀の水に映った枝が、風のたびにほどけていった。城下町の輪郭を眺めるつもりが、水面のほうが先に記憶を持っているようだった。
  3. 白壁と黒い格子のあいだに細長い影が落ちていた。鍵曲は曲がるたびに見えるものを隠し、町そのものが小さな迷路のようだった。
  4. 萩焼の淡い肌に窓辺の光が沈んでいた。器の内側の影は、空っぽなのに何かを受け止めているようで、休むことも旅だと思った。
  5. 砂浜に伸びた防波堤の影が、波に触れるたび短くなった。菊ヶ浜は海の広さを見せながら、足元の泡まで気にさせる。
  6. 赤茶けた煉瓦の遺構に斜光が入り、炉の内部だけが深く暗かった。近代化の記念碑なのに、残ったのは熱ではなく静かな空洞だった。
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